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【怪紀行・滋賀県】使われることのなかった列車壕・岩脇蒸気機関車避難壕

怪奇行滋賀・兵主大社と土倉鉱山跡はこちら

■いわわきじゃないよ、いをぎだよ

どうも最東です。

ぶぶーん、と愛車のプリプリ(プリウスα)くんを走らせやってきたのは岩脇山(いをぎやま)。

こうして読みを併記していますが、最東もいまだに「いわわき」と呼んでます。多分一生そうです。

というか「いおぎ」ではなく「いをぎ」なのが、どことなくハイカラな感じがしますね。

そもそもここへやってくるまで「いをぎ」と読むことはまるっきりしなかったお茶目マシーンですが。ばぶばぶばぶばぶ(かわいい機械音

マシーンが辿り着いたのは押し入れにネコ型ロボットを飼っていそうな眼鏡の少年が住む家の裏山のような小さな山。

そこには石鳥居があり、稲荷神社がありました。

マシーンはO型なので基本的にいい加減でおおざっぱです。(前も書いた気がしますが)

なのでとりあえず案内は見ず、適当に歩いてたら辿り着くだろうと山へ進む階段を上がりはじめました。

途中、傾斜に建つ木造の建物があったので立ち止まり観察。

【岩屋善光堂】……なるほど、お堂のようです。

中を覗き込んでみますがひと気ははなし。当然、戸は閉まっています。

ここで禅を組んだり、瞑想したりするのかな。なんて思いながら、ずらりとカーテンもなく陽光が差し込む堂内を眺めました。

がらんとして静かです。スケールは違えど、ぎゅっと小さくした清水寺のようです。いや、いいすぎですけど傾斜に建っている感じが彷彿とさせるというか……。

田園広がる景色の奥にうすく見える山々のシルエット、米原ということもあり新幹線の線路が走っていて、時折横切る新幹線が見事に映えます。

夕方になるとみかん色の陽光が山に沈みゆくのがとても神々しい。確かに神聖な気持ちになれそうです。

よく見ると大きな岩に張り付くようにして造られていて、まるで山と一体化しているかのようでした。

■恒例の迷子

揚々と山を歩く最東。

いやあ、空気はうまいし風の音は心地いい。景色は最高だし、道も険しくない。

あとはそう、ここはどこかなー。そう、ここ。

どこだよここぉー!!(涙声)

岩脇山に稲荷神社があり、小さな山だということは来てみてはじめて知ったことですが、場所自体はここで間違いないというのは確認済みでした。

その確信が油断を招いたのでしょう。小さいと思っていた山はどこまでも続き、列車を隠しそうな場所……というかネットで見たあの岩を掘った壕がある気配ナッスィング(ネイティブ)!

ぴえーん、ぴええー-ん、と金色の陽を浴びながら最東はひとり山道をさまよいました。

今マムシがでたら死ぬ。嚙まれなくても死ぬ。熊出たらどうしよう。イノシシにハリケーンミキサーされたら……ッ!!

SHIN☆KAN☆SEN☆

これはもう降りるしかないなッ!

と思い、下りと上りに別れた道を下ることにしました。

すると……あった!あった、あったよ!ohohoh~!(安心パパ

そこには岩肌をくり抜いたような洞窟、否、壕があったのです!!

■岩脇蒸気機関車避難壕

みなさんは当然、防空壕はご存じだと思います。

戦時下、空襲から身を守るために作られた堀や隠し部屋、今でいうシェルターです。

防空壕は人を守るためのものですが、戦闘機やバスや列車用の防空壕があるのはそれほど広くは知られていません。

例えば飛行機(戦闘機)を空爆から守るための壕は【掩体壕(えんたいごう)】といいます。

その名の通り、岩脇蒸気機関車避難壕は蒸気機関車のための防空壕だったのですね。

と、いう予備知識を詰め込んでようやくたどり着いたのに……

【立ち入り禁止】

あんまりだぁああ!HEEEYYYYY!!

鉄格子と立ち入り禁止の看板……終わった。なにもかも、終わった。

怪紀行滋賀編・完

トボトボと後ろ髪をひかれながら最東はその場を後にしました。

そうだ、せめて記念に内部をパシャリしとこう……とカメラを鉄格子の隙間に差し込み、写真を撮りました。

おわかりいただけただろうか

ん~? んんんん~~~!!?

ズームしていくと向こう側の出口が見えました。それだけなら特になにもないのですが、立て看板がこちらに背を向けています。

「アッー! 反対だこれ!」

立ち入り禁止のこちら側からは入れない、とそれだけのようでした。

おいらったらHAYATOCHIRI☆

「よーしがんばっちゃお」

と意気込んだまではいいですが、逆側の壕にどういけばいいのかわからない。

単純に考えればぐるりと周回すればいいのですが、どこかショートカットできないものか。

と真っ先に浮かんでしまうくらいには消耗していました。

なにせ、山でずっと迷子になっていたもので。

迷っていただけならまだしも、ずいぶんと奥のほうに来ていたらしく冷静に現在地と出口との距離感を測ってみたところ完全にこなくていい場所まで来ているっぽかったです。

ちょうど地元の中学生か高校生かどっちかわかりませんが、下校時だったらしく白いヘルメットを輝かせて自転車で何人も横切っていきました。

あばよ青春、そのチャリ俺によこせ。

喉まで出かけた言葉を飲み込み、もう少しで犯罪者になるところだった気持ちを抑えておとなしく周回することにしました。遠い。

そうしてようやく見つけたわけですが……怖い!

なんだか江戸時代の処刑場入り口、って感じの竹の牢みたいな扉が死の入り口感満載で思わずたじろいでしまいました。

『戦争が残したふたつの洞穴』と看板。いやこれ罪人の罪状とか書いてるやつやん。

という突っ込みを飲み込みながら、おそるおそる中へと行きます。

『いだっ☆(あたま)頭上注意』と書かれた立て看板。手作り感いっぱいでかわいい。

いだっ

その傍らには掃除用の竹ぼうき。

2秒前まで怖いな怖いなおっかないな、と及び腰だったくせにこの立て看板のおかげで恐怖心はマシになりました。

よく見ればこの立て看板、先ほど逆側から見た看板です。一応、横に立ち入り禁止の看板もありますがほうきで隠れているし、主張もしていないので入っても大丈夫だと判断。

そもそも真横に『頭上注意』ってあるからね!

おっおう……怖い……

なにが怖いって、暗さ。それにじめっとした湿気、冷気。

反響する足音もそうだし、自分の咳でさえ誰かのものと聞き違いしそうでした。

とにかく雰囲気抜群。

情報によると、この列車壕はふたつ掘られたものの一本は途中で中止になり、もう一本は開通はしたが最後まで使用することはなかったという。

列車のための防空壕だったが列車が入ったことはないということらしいです。

なにせ手作業での掘進作業だったらしく、洞穴の形が常に歪なのが当時の過酷さを物語っているようでした。

ここが使われなかったことが幸いだったのか、そうでなかったのか。

戦争から遠ざかった今では知る由もなさそうです。

■列車壕資料館

確かに迷子になり登らなくていい山を歩いた結果、クソ遠回りしたというやらかしをしましたが悪いことばかりではありませんでした。

列車壕へ向かう途中で、エキサイティングな資料館を見つけることができたのはたなぼただったと言わざるを得ません。

一見するとなんの小屋かわからなかったのですが、近づいてみると【いをぎ町づくり資料館】の看板。傍らには『ご自由にご覧ください』の案内。

おっ、これは中に入れるのかしら? と思い、おそるおそる戸を開けてみると鍵はかかっておらず、中に入れました。

「がおーっ」「うわあー!」

がおーっ

と、入るとすぐヘルメットとエプロンを着けた熊が両手を振り上げて威嚇してきました。

すごい緩い見た目と裏腹にすごい迫力なのでよくよく見てみるとどうも本物のようです。

本物の熊の剥製にヘルメットとエプロンを着せて〈ようこそ〟列車壕(資料館)へ〉※原文ママ と書かれた紙を首から下げています。

クマたん、成仏できてるのか心配な最東。

資料館というだけあって、岩脇蒸気機関車避難壕にまつわる取り組みや歴史などが多くの写真や当時、実際に使用した道具、見つかったものなどが展示してありました。

列車壕は使用されなかったこともあり、戦後ながらく放置されてきましたが平成20年から市の教育委員会からの要請で『いをぎ町づくり委員会』が年月をかけて今の状態に整備し直しました。

長年放置され、どうしようもなくなっていた列車壕が彼らの手により復活していく様を克明に捉えた写真たちを見ているだけでそこに同席しているような感覚を覚え、資料館の木材と土の香りがイメージを手伝ってくれます。

整備には地元の小学生たちも参加し、地域一丸となってよみがえらせたのがよくわかります。

けして大きくて立派な施設ではありませんが、地域の人々の思いで紡がれていくこの岩脇山。一度訪れてみてはいかがでしょうか。

最東も再訪の時を心待ちにしながら、後にしました。

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