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怪紀行鳥取・廃墟景観シンポジウム2 天空に眠る若松鉱山

■産業遺産フォー!

どうも最東です。ぺろぺろ
今回の怪紀行はご縁あって参加したモニターツアーと廃墟景観シンポジウムについての記事でごわす。(ごわす)
最東は珍スポットが好きなのですが、この〝珍スポット〟という呼び名自体が好みでなく、当ブログでは珍スポットや産業遺産、戦争遺産、廃墟や心霊スポットなどをひっくるめて『怪紀行』と呼んでいます。
もともとは小説のネタ探しのつもりであちこち回っていたのが、どういうわけか2022年には『この場所、何かがおかしい』という旅エッセイ本として刊行されちゃったりしました。


とはいえ、ほとんどの場合が最東ひとりでの旅であり、世の中にはそう簡単に同じ趣味を持つもいません。
そんな最東の怪紀行ですが今回、廃墟珍スポ大好き変態人間(誉め言葉)たちとたっくさん戯れてきましたよよい!うひょーイソプロピルアンチピリン!!
奈良監獄で行われた『奈良監獄から脱獄せよ』(幻冬舎/和泉桂著)の刊行記念トークショーで、和泉にゃんから紹介していただいた前畑洋平さんのお誘いで鳥取県日南市で行われた『廃墟景観シンポジウム』に参加してきました!ロシア革命!


前畑洋平さんは、NPO法人j-heritageの代表総理事を務めておられます。
j-heritageとは、産業遺産の記録、調査や産業遺産を巡るツアーの実施など、産業遺産の保全や再利用に注力している団体です。

→NPO法人j-heritageHP
2022年にはマヤカンの愛称で知られる『摩耶観光ホテル』で第一回廃墟景観シンポジウムを開催。『奇界遺産』の佐藤健寿さんを招いてのスペシャルトークをはじめ、大変な反響を呼びました。
近年ではたびたびメディアで紹介される機会も増え、産業遺産にスポットが当たる立役者ともいえる存在です。


この第一回廃墟景観シンポジウム、最東も行きたかったんです。でも「シンポジウムってなんじゃらほい」となり、スケジュールの都合もつかなかったので泣く泣く見送った経緯がありました。
そ・れ・が!
第二回廃墟景観シンポジウムにお呼びいただけるなんて、ホラー作家冥利に尽きるってもんです!(?)
しかも、ただ参加するだけじゃあないですよ?(小声)
一般募集していないモニターツアーにお誘いいただいたのでしたー!(歓喜の江南スタイル躍る)

■天空の産業遺産・若松鉱山

当ブログでも怪紀行としていくつか産業遺産には赴いています。
先述の奈良監獄、滋賀の岩脇蒸気機関車非難壕、土倉鉱山跡、兵庫神子畑選鉱場など。
奈良監獄は星野リゾートが買い取り、リゾートホテルとして再生することが決まっていますし、神子畑選鉱場は関連施設やグッズが販売されていたりとその栄華を後世に伝えています。

星野リゾート 奈良監獄
最東自身は、鉱山に対してはそこまでの興味や関心はないものの、その巨大さと今も感じる労働者の息遣いに圧倒され、背景や歴史は置いておいても訪れ、目の当たりにすることが好きです。
国内では特に端島、俗にいう『軍艦島』で一気に知名度を上げたのではないでしょうか。特にこの『軍艦島』は、島という特殊なロケーションと〝当時の生活がそのまま遺されている〟という点で国内外から非常に注目を浴びています。


しかしながら、経年による劣化で倒壊の危険があり、島の一部にしか立ち入ることができない現状です。
軍艦島は、島という立地から人の手による破壊や盗難が著しく少なく、当時の姿を大きく残していますが、本州に存在する産業遺産はなかなかそうは行きません。
閉山・閉鉱後は機材は整理され、基礎以外の建物はすべて撤去されるケースがほとんどです。それ以外にも不法侵入者による悪質な破壊・窃盗もそれらの産業遺産に深刻なダメージを与え、当時のままの姿を世に残す場所はかなり稀なケースとなりました。


しかし、鳥取県に存在するこの『若松鉱山』は、全国的に見てもかなり珍しい〝機材や道具、建物が稼働当時と変わらない状態で遺されている〟産業遺産なのです。
今回の『廃墟景観シンポジウム』では、その若松鉱山の見学ツアーを目玉にした有識者や関係者などが集まり、若松鉱山の現在と未来について話し合いました。
登壇者にはj-heritage代表の前畑氏をはじめ、前畑夫人で産業遺産写真家でもある前畑温子氏、廃墟探検家の栗原亨氏、珍スポなどトマソン的旅のパイオニアともいえるワンダーJAPAN元編集長・現ワンダーJAPON編集長の関口勇氏、TEAM酷道主宰よごれん氏、産業遺産学会理事長小西伸彦氏、多里の鉱山(若松鉱山)を語り継ぐ会古川則仁氏、清水沢プロジェクト代表理事佐藤真奈美氏、持倉鉱山遺構を守る会会長堀口一彦氏、土橋鉱山株式会社代表取締役武部将治氏、元池島地域おこし協力隊小島健一氏、さらには飛び入りで登壇した写真家saho氏や同じく写真家のtakatan氏も交え、興味深い議論が交わされました。

シンポジウムの中では、『朽ちていく廃墟を〝守る〟というのは矛盾しているが、若松鉱山のように歴史的価値があるものは遺していく努力をしていかなければならない』という話もあり、最東としても考えさせられました。
私は兼ねてから『朽ちる美』に惹かれる性質を持っていて、みんなで守っていこう!と遺っている観光地などに関心が向きません。「今見ておかないとなくなるかもしれない」というのが、怪紀行の醍醐味だと思っているからです。
しかし、一方でそういう場所が「ずっと残っていてほしい」という相反する矛盾した思いがあることも確か。
今回のお話はそんな思いを言語化してくれたような気さえしました。
若松鉱山については、当記事の写真をたっぷり堪能していただくとして、多里の鉱山を守る会では若松鉱山を守る取り組みが話し合われています。
それの一環として、今回のような見学ツアーも今後企画する可能性についても言及されていました。
実際にこの目で触れ、この足で歩いてみて、そのまま遺っている鉱山にただただ圧倒されました。ここで働いていた人たちの息遣いがそこにはまだありありと遺っていて、その痕跡を見つけるたび、この鉱山はまだ鼓動を止めていないという気持ちにさせられます。
興味を惹かれた方は是非、多里の若松鉱山を調べてみてください。
そして、できるなら実際に足を運んで訪れてみるのもいいかもしれません。

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