ドーン オブ ザ デッド
■ドーン オブ ザ デッド
ドーンオブザデッド(邦題:ゾンビ)
1978年アメリカ。
ゾンビ3部作の第2作目。
前作より実に10年の時を経て制作されたロメロゾンビ映画の最高傑作。
長年、パニック系ホラーを観てきましが、やはりこれに勝るゾンビ映画……いや、パニック系ホラーはないでしょう。
ショッピングモールに徘徊する夥しい数のゾンビと、生き残った少数の人間。
生き残るのはどちらか?
■どちらが悪か?
この作品でももちろん、ゾンビという存在は敵という位置で存在します。
ただ、前回のナイトオブザリビングデッドに比べてゾンビの量が10倍(当社比)←嘘です。
とにかく多いです。
ショッピングモールを占領している無数のゾンビたちは、死してなおショッピングを楽しむかのようにゆらゆらと徘徊しています。
そんな中に降り立ったのが、軍の兵士と一般人のカップル。
幸い、ショッピングモールということもあり食糧や生活雑貨には困らないが……。
この作品の興味深いところは、人間とゾンビの立ち位置が逆転していることです。
人間よりもゾンビが多い世界。
だけども、この映画ではそんな人間とゾンビの関係性が逆転しているのにも関わらず、ゾンビをおもちゃにしているのは人間だという描写がいたるところに挿入されます。
知能が低いゾンビは、ただゆらゆらと徘徊し、人間を見つけたらそれを目がけてゆっくりと群れで襲い掛かる。
そう、人間の方が早いし知能もある分、劣勢でない限りは負けないんですよね。
だから、遠くでライフルを構えて、どちらが多くゾンビを殺せるかゲームとやったりして。
結局、立場が逆転したところで人間の残虐性は変わらない。
結果、どっちが悪なのかが途中でわからなくなってきます。
ロメロ作品にはそういった虚しさというファクターが見え隠れするのが魅力的なんですね。
■ロメロ映画には軍兵がつきもの
さて、この映画からロメロゾンビ映画には必ず、軍の人間が重要な役割で登場します。
つまりは、兵器vsゾンビという構図を1978年で既に作り上げていたわけです。
昨今、ゲームや映画でその構図は当たり前になっていますが、今から40年以上も前にこの礎を築いたロメロは、やはりホラーには現れるべくして現れた天才なのですね。
群れで襲い掛かるだけのゾンビと、人殺しの兵器を駆使して応戦する人類。
一見、絶対的優勢だと思われた人類がなぜゾンビに呑みこまれたのか。
この辺の背景を想像するだけで、上手い酒が飲めそうです。
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