デイ オブ ザ デッド
■デイ オブ ザ デッド
デイ オブ ザ デッド(邦題:死霊のえじき)
1985年アメリカ。
ロメロゾンビ3部作の最終章。
……それにしても邦題のこのセンスの無さはある意味特筆すべきではないでしょうか。
ゾンビ映画がまだテンプレート化しておらず、認知度も低かった第1作『ナイト オブ ザ リビングデッド』が原題のまま日本公開されたのは、別として、
2作目である『ドーン オブ ザ デッド』が【ゾンビ】、ロメロ作品を深く知ってしまった今となってはこの邦題もいささかの違和感はあるが、まぁ及第点でしょう。
そして3作目。
”夜”から”夜明け”、そして”昼”になった今作。
原題が一連の流れで来ているのにわざわざ改悪してくれました。
■死霊のえじき
さて、シリーズを重ねるごとに残酷描写が容赦なくなっていくロメロ3部作ですが、今作もなかなかやってくれます。
これをシリーズと知らずして見る方にはあながち【死霊のえじき】という邦題はいいのかもしれません。(どっちだ)
というほど、今作はゾンビと化した”元人間”の皆様をおもちゃ扱いします。
残酷描写が回を重ねるごとに増してゆくのと同時に、ゾンビに対しての人間の価値観もどんどん軽くなっていくのもロメロゾンビの特徴です。
人間とゾンビの数は既に逆転しているというのに、人間はそれでもまだゾンビを自分よりも下等なものだという価値観を捨てないのですね。
毎回そういった風刺や世相が反映しているようで、見終わった後に調べてみると中々面白い時代背景にあたったりします。
■知能を持った初のゾンビ
さて、デイオブザデッドを語る上で、外せないのは初の知能を持ったゾンビ【バブ】の存在でしょう。
ゾンビに陸地を奪われて長きに渡り、人類はあることを思いつきます。
【ゾンビを飼い馴らすことはできないのか】と。
これの研究に没頭する科学者が地下シェルターで実験体ととしているのが【バブ】と呼ばれるゾンビです。
バブに音楽を聞かせたり、人間を怖いものだという意識を植え付けたり、食べ物を与えてみたいりとあらゆることを実験し、ついにある一定の成果を上げることに成功しました。
しかし、ゾンビに親しい人間を食われたり、家族がゾンビ化したりと、ゾンビに対していい印象のあるはずもない人間も多く、
地下シェルター内に於いて、実験を握る元軍兵たちはいい顔をしません。
ことあるごとに実験をやめさせようとしますが……
といったストーリーです。
■みどころ
ゾンビが増えすぎて陸地を奪われた人間が、逃げ込んだのは地下。
太陽の光を浴びず、閉鎖空間に追いやられた人間たちの心理模様が生々しく描かれています。
ロメロゾンビシリーズには、毎回黒人俳優が重要な位置にキャスティングされています。
シリーズを追っている方なら、ここに注目するのもおもしろいでしょう。
ここまでシリーズを追いかけた人であれば、この疑問にたどり着くと思います。
『人を食う以外、なにもしないゾンビと、人を食わない以外、なんでもする人間。
果たしてどちらが害悪か?』
全作品を通して見る者に強烈になげかけるテーマではないでしょうか。
特に今作のバブを見ていると、純粋なのはゾンビのほうであると思わざるを得ません。
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