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怪紀行兵庫・自然に呑まれてゆく産業遺産 竹野鉱山

■わくわく鉱山ツアー

どうも最東です。
今回も前回の若松鉱山に続き、J-heritage代表の前畑さんのご厚意で産業遺産のツアーに参加してきました。
思春期真っただ中の息子氏も駆り出し、神子畑選鉱場と竹野鉱山、竹野川に架かる国内ではかなり珍しいラティス橋を見てきました。
「おい息子。廃墟のツアーに行くが来なんしか?」
「それはなんでありんしょう。わっち、興味ござんす」
「産業遺産と言わさる鉱山や炭鉱跡ざます」
「行きんしょう」

ということで、神戸からバスで出発。
当ブログの読者なら当然ご存じの通り、神子畑選鉱場は以前、個人的に訪れていますが、前回は遅い時間に行ったため、ゆっくりできませんでした。
そういう意味では、二度目の来訪ながら前回あまり見る時間がなかったものを見ようとルンルン気分です。
まあ、今回もあんまり時間なかったんですけどw
とはいえ、ムーセ旧居の見学など前回の心残りは成就したので最東的には満足でごわした。
息子氏も興味深げにパシャパシャ夢中に撮影していました。シックナーかっこいいよね!


■竹野鉱山へ

次はツアーのメインでもある竹野鉱山へ向かいます。
竹野鉱山は、兵庫県豊岡市竹野町にあった鉱山で明治から昭和初期にかけて稼働していた鉱山です。
現在は旧たけのこ村の裏山にその遺構を残していて、昭和23年(1948)の閉山から実に80年近く昔の面影を見ることができます。
ガイドの方に先導してもらい、道ならざる山道を進んでいきます。
マジで道らしい道はなく、傾斜のある坂をガイドさんが設置してくれたロープを手繰って登っていきます。うーん、初体験。
「ちょいと息子氏、平気ざますか?」
などという父親の心配をよそに、絶賛中学生の息子氏はしっかりと息切れなく登りきっていました。
「ジジイ、息切れえぐいでありんすな」
と嘲笑される始末。あと20歳若かったら殴り殺しているところです。


その後、岩場のぐらつく足場に腰がぷるぷるしたり、下りで滑って尻餅を突いてデニムのケツを汚したり、息子氏の前で度重なる生き恥を晒しました。
パパはお前を殺して俺も死ぬ。
その後、息子氏はパパ上を放置プレイして、あちこち散策しては水晶の石を探していました。なんでもガイドさんから水晶と普通の石の判別方法を教えてもらったとのこと。
まさか、中学生にしてトレジャーハンターの素質をみせるとは思ってもいなかったぞ。
(わんぱくでもいいたくましく育ってくれたら。※ハム食べながら)
そして、いよいよ竹野鉱山跡に。
そこは非常に興味深い光景がありました。
鉱山の遺構(ガイドさん曰く、精錬所の跡とのこと)はそのままに、長い年月の中で自然に侵食され、半ば同化しているようなその姿は異様でありながらも神秘的でもありました。
よく地球上でもっとも強いのは植物だ、なんて言われますが竹野鉱山跡を前にすると本当にそう思います。
構造物を避け、曲がった形で成長している木々や、遺構物を巻き込んで歪な形のまま大きくなった枝や幹、人工物などなんのそのとコンクリを割って生えている樹もありました。
ここにはかつて巨大な精錬所があり、たくさんの人が働いていたのだと思います。
ほかの鉱山跡などではそういった息遣いの残滓を感じることができるのですが、竹野鉱山跡ではもはやそこに人のいた痕跡を感じることはできません。
かわりに、長い年月を経て自然と一体化したまったく新しい姿がそこにありました。
友ヶ島要塞跡のように、『まるでジブリの世界のようだ』と例えるのは簡単なことです。
ですが、ここにはそんな言葉ですら安直に思えるほど無機物と有機物が絡まり合った神秘の世界がありました。
人工物が朽ち、植物が栄える光景はどこか退廃的でディストピアな世界をも思わせます。もし、ひとりでここに佇んだなら、ここが人類が迎える終の世界ではないかと錯覚してしまいそうになるかもしれません。
どこか人の世界とは隔絶されたような、竹野鉱山跡は唯一無二ともいえる場所でした。

エロ本

■人を呼べる産業遺産に

今回のツアーは竹野町の地元住民のみなさんが、「竹野鉱山の遺構を活かして地域に人を呼びたい!」という思いから実現したのだそう。
正直なところを吐露すれば、今の状態では竹野鉱山に至るまでの道のりが険しく、広く人を集めるには整備が必要だと思いました。
実際、最東もお尻から滑って(かわいいホラー作家)ヒヤリとした瞬間もあったので、子供やお年寄りのことを思うと、課題はあります。
ですが、それを補って余りあるほど、魅力と可能性がある産業遺産でした。
現在、竹野鉱山の麓にあるたけのこ村は閉業していますが、このまま眠らせておくには勿体ない。なんらかの形で、この遺構を有効活用できればと思います。
そのためにどうすればいいか、というのは議論の余地がありますが、竹野町では竹野鉱山の見学を歓迎しているとのこと。
是非一度その目で見て、その足で体験して、あなたのアイディアをお寄せください。
息子氏が水晶の石を探索していたように、宝探しのような催しがあっても面白いかもしれないなー、などと私などは愚考しました。
たけのこ村でホラーイベントしたら超面白そうだぜ!(金のにおい)

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