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怪紀行奈良・丘の上の赤レンガ建築 旧奈良監獄

■レッツ投獄

どうも最東です。

突然ですがみなさんにお尋ねしたい。みんな捕まったことある?(イエーイ!)

捕まったらどうなる?

逮捕→拘留→起訴→実刑→収監♥ となるわけですが、もちろんみんな経験してるよね。え? 最東はどうなんだって? 捕まるようなことしてねぇよ! おめーらと一緒にすんな!!!(暴言→収監)

そういうわけで旧奈良監獄の見学ツアーとやらに行ってきました。

『旧奈良監獄とはなんじゃらホイ』という困ったさんのために説明すると、重要文化財の指定を受けた由緒正しき近代監獄施設。1908年に産声をあげ、少年刑務所としてその後100年間もの間最古の監獄として運営してきたわけです。

ちなみに旧奈良監獄は〝少年刑務所〟だ。鑑別所や少年院とは異なります。

〝少年刑務所〟は刑事施設で、16歳から20歳未満の少年を収監します。要は実刑を言い渡された少年がここに入ることになるわけです。現在は6カ所の少年刑務所があります。

〝少年院〟は矯正施設。非行少年たちの社会復帰を目指すところで刑務作業をする場所ではありません。

同じ〝少年〟というワードが入っていてもその性質は根本的に違うのですね。

ついでに鑑別所について説明しておくと、正式には〝少年鑑別所〟と呼ぶように少年院の前段階にあたる施設です。少年院に送致するか否かを見極めるための場所……といったところでしょうか。(最東はどれにも入ったことないよ!残念)

■明治五大監獄

実は旧奈良監獄、普段は内部の一般公開はしていません。と、いうのも監獄とは思えないレンガ造りの建築作品を生かし、内装を一新してホテルとして転業するそうです。

それはそれで楽しみだし、監獄ホテルなんて最高じゃんウリィイイイイ! となりますが、監獄の意匠を保っている今のうちに見学しておきたいと思いました。

明治時代、日本の近代化は止められない波として押し寄せていました。だからって『監獄をシャレオツにぶっ建ててやんぜ!』とはならないのでは? と思ったそこのあなた、ぷっちょでも噛んで黙っていなさい。

近代化が進む中で監獄施設は国際的に重要な意味を持っていたといいます。その国の人権意識を反映しているとみられていたからです。監獄を国際標準に近づけるため、ひとりの男を海外視察に送り込みました。

ハビランドシステムという監視所を中央に置き、そこからすべての社房を一望できる様式を旧奈良監獄に取り入れた。

×サテライトシステム 〇ハビランドシステム

長崎、金沢、千葉、鹿児島に並んで旧奈良監獄は明治五大監獄として数えられるようになりました。

その中でも明治期の監獄そのものを完全な形で残しているのは旧奈良監獄のみです。

国の重要文化財に指定されるのも納得なわけです。

特に圧巻なのが西洋のお城の城門のような表門。『相手に舐められないために大事なのは第一印象』という不良のモットーを具現化(してない)したような、荘厳なたたずまい。

美しすぎて監獄ぽくないどころか、なんらかの政治的重要拠点にしか思えません。

こりゃ刑務作業にも精がでるってなもんですぜ旦那ァ

それまでの監獄施設といえば木造建築で灯りはランプというお粗末なものでした。そのため受刑者による放火が相次ぎ、広島監獄ではこれが原因で50名以上の焼死者を出したそうです。

どの建物も木造建築が主だった日本ではしょうがなかったことなのかもしれませんが、いよいよ防火対策に乗り出さねばならない契機でした。

明治中期になって国内でレンガの量産が可能となり、都市部の銀行や司法建築に取り入れられるように。

1899年ごろからレンガ造りによる監獄施設の建設が急速に進み、明治五大監獄へと繋がっていきます。

■丘の上のうつくしい監獄

実際に行ってみると坂をのぼる住宅街の突き当りに唐突に現れ、初見は面を喰らうかと思います。

ホテル転業による本格的な工事は、最東が行った時点ではまだはじまっておらず比較的ゆったりと見学することができました。

ツアーガイドの方が元刑務官だったらしく、裏話も踏まえていろいろとお話ししてくださいました。申し訳なさそうに「私が勤務していた中で事件らしい事件はなかったので大した話はありませんが」と謙遜されていましたが、いやいや事件の有無にかかわらず実際に奈良監獄で働いていた方の話を聞きながら見学できるのがどれだけ贅沢なことか。

外見の美麗な造りとは打って変わり、監獄の中はひんやりとした灰色の世界でした。

中にはパステルカラーの明るい区画があったりもしましたが、基本的には落ち着いた色で統一されていた印象です。

なんというか……学校の校舎に近い感じがします。

ひとりの引率に集団で従う、という点では同じ仕組みかなと妙に納得。

時々、ドラマの撮影にも使われるとあって実際にはもう使われいない牢に外部から柵を持ってきて取り付けたり、ということもあったそうな。本物よりも味があったというのは笑い話。

とはいえ監獄。中に入ってあちこちいろんなアングルから観察してみると窓には鉄柵や鉄格子ががっちりとはめ込まれていたり、社房を囲む通常よりも高い壁にここは普通の施設ではないと思い知らされます。

ロケーションとしてはうつくしく素敵な場所にあり、なにも知らなければお城に辿り着いたと感動してしまうかもしれませんが、ここは監獄。

罪人が償うために刑務を全うする場所。

決して表面の美しさに惑わされないよう、我々も罪に惑うことなく生きたいものです。

「もう戻ってくんなよ」

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