怪紀行番外編・伝説はここからはじまった!断罪のファロ ~Beginning~前編2
怪紀行番外編・伝説はここからはじまった!断罪のファロ ~Beginning~前編1はこちら
■島根取材の時、すでにはじまっていた
どうも最東です。
せっかくの3部作なので、今回はしっかりと正確で詳細な記事にしていきたいと思っているよ。そうなるとそう……すべては島根旅行の時に布石は敷かれていたのです。(震えが止まらない)
島根の旅はもともとファロが別の作家仲間と周ることになっていて、最東には関係のない旅でした。それがその作家仲間の都合で急遽キャンセルになりかけていました。
「残念だけど、僕は死ぬよ」
「待て。死ぬくらいなら俺が連れて行ってやるよ」
とファロの命を救った善人オブ善人オブ善人の最東。
「え、ほんとに?(頬を赤らめて前かがみになる)」
ファロはそう言って悦んだので木の棒で戒めながら、「まあ、俺も行ったことない県やし、ええで。車出すし行こうや」ということになったわけです。
そして、僕らの愉快な仲間のイマムどんと3人で島根に行き、その間の運転は全部あたいがしたとです。
それはね、別に納得済みなんですよ。自分から言い出したことだし。
イマムもファロも免許はあるけど、ペーパーなのは知ってたし運転させるつもりもなかった。それにこれといった事件も起こらず、むしろごくごく王道的な、普通の旅をしましたよ。
そうして島根の旅は終わりましたよ。
むりやり事件をひねり出すとするとそうだなあ……ファロが手配してくれた温泉宿の近くになぜか一軒だけソープランドがあって、ニヤニヤしながら「最東さん、行かないんですか?」と言われたことくらいでしょうか。あと、それを言われて数分後にファロが「最東さん、行かないんですか?」と念を押されて、どこの世界にみんなで旅行きて自分だけソープに行くねん、という最東に「遠慮しなくていいんですよ?」とニヤニヤしながら言われたことくらいかな?(行ってないよ!)
■伏線回収だよ☆
一体今のエピソードのどこに今回の布石があるんだこの弱酸性ベジータ!とお思いでしょうが、ダマップ!
この時の最東の善意が彼を凶行へと駆り立てたんですよ!
時は島根旅行より約半年後。
「江ノ島に取材行くけど行く?」
とファロから持ち掛けられました。
正直、江ノ島にはなんの用事も興味もなかったのですが、ちょうど書いていた原稿の登場人物が鎌倉出身という設定があり、ディテールをあげるためにまあ行っておいてもいいかな、くらいに思いました。
ファロはその辺の事情を知っていたので声をかけてくれたのです。
「え~どうしよっかな。行こっかな」
やりとりをしながら、その場合、やっぱり新幹線かなと思いました。車はちょっと遠いし、島根の時と違って関東のほうは交通量も違うだろうし、という思いもあったのです。
なにせ、6~7時間はかかるので、ずっと運転っていうのも疲れるし。
「ずっと運転させて悪いけど」
……ん?
あれ、この子、最初から新幹線の選択肢ない?
え、え、っていうか車出してほしいとか、そういう相談受けてないけど、決定事項なの?
「お、おおん」
返事をしつつ、正直最東は動揺しました。前回とは熱量も違うので、ずっと運転してまではちょっとなあ……と内心思っていたからです。
しかも、前回と決定的に違うのは、あっちから持ち出した旅行だということです。自分から言い出した前回は納得していたからなんとも思わなかったのですが、今回はちょっとモヤモヤしました。
「車で行くん?」
「そのほうがあちこちいけるし、いいかなと思ったんやけど」
お、おおん……
善人の最東はここで考えを改めようと思いました。
最東もファロも作家です。つまり個人事業主であって、交通費がかさむと痛い。でも車で行くならふたりで割安じゃないか。こまごまと電車で移動するよりも確かに時間的にも金銭的にもショートカットできる。さすがじゃん、そこまで考えていたんだねファロ!
あれぇ、どうしたんですかみなさん。え?『最東お姉ちゃん、えらくファロくんに甘々じゃん』だってぇ?
そう!そこなんです!
信じがたいかもしれませんが、この時は今ほど関係性ができていなかった。
表面上は今と変わらなくても、最東のほうがファロという人間の生態について今ほど知っていなかったのです!
そ・し・て!!!
今のような関係になった直接的な原因がこの江ノ島・鎌倉旅にあったのです!
ああっっ、おいおいおいおいおいおいおいおい……
まただよ、またこんなに長くなっちまったよ。なんだよこれ、3部作なんかで終わんねえぞ……ごめんよ、ファロ。
ともかく!この時の最東は嫁にも相談してみました。
「なんか、俺の扱いおかしくない? 勝手に車出すことなってるんやけど」
嫁「そらそうやろ。運転せえよ」
「お、おん……」
相談の結果、最東が不利なようでした。なんで嫁、俺の味方してくれなかったの?(うちの妻は異常者)
とにかく、以上のようなことがあって、いよいよ鎌倉へと旅立つ時がきたのです。
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