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【不可解】時空のおっさん事件② / 怪奇夜話 ヴォイニッチ手稿

公開日: : 最終更新日:2014/04/23 未分類

おっさん

◆どうやって帰って来たのかわからない

 

 

 

 どうも最東です。

 

 

 お酒がおいしい季節になりました。

 

 

 週末にはついつい調子に乗って深酒をしてしまい、失敗した……なんて人もおられるのではないでしょうか。

 

 

 私にもそういった記憶があります。

 

 

 何度か……どうやって家に帰ったのかすら覚えていない……なんてことも。

 

 

 しかし私を含めたそういった苦く愉快な思い出がある方は、その理由は“お酒”にあると思います。

 

 

 そういったお酒の力や、薬などの作用によって朦朧としていた、などではなく、

 

 

 正気の状態にも関わらず、どうやって帰ってきたか分からない。

 

 

 そんな奇妙なスレッドが例の巨大掲示板にひっそりと立ちました。

 

 

 【昼下がりにSFな体験した】スレから1か月後のことでした。

 

 

 


◆時空のおっさんの話?

 

 

 

 気づいたら帰って来ていた。昨日の夕方から今まで……というよりどうやって帰ってきたのかも分からない。とりあえずスレたてた。

 

 

 こんな出だしでそのスレッドは立てられました。

 

 

 文面からも分かるように、スレッドを立てた本人はいささか混乱している様子でもありました。

 

 

 彼はこういいます。

 

 

「昨日17時に帰宅し、コンビニ弁当を食べながらインターネットなどをしていた。

 

 

 その最中、呼び鈴が鳴ったので誰が来たのかも確認せずに扉を開けたら、誰もいなかった。

 

 

 いたずらかと思って再びパソコンの前に座ると、普段見るオレンジ色の夕方の空が、

 

 

 真っ赤に見えたんだ」

 

 

 その奇妙ながらも美しい景色を写真に収めようと携帯電話を探したがどこにもなかった。

 

 

 仕事でも使用しているため、携帯電話がないと困るスレ主は、夢中になって探した。

 

 

『ピンポン』

 

 

 するとまた呼び鈴が鳴った。

 

 

 いたずらと確信していた彼は、怒鳴ってやろうと勢いよくまた扉を開けたのだそうだ。

 

 

 開けたと同時に怒鳴ったが、目の前に中年の男性が立っており、怒鳴った声は尻切れトンボのように勢いを無くしてしまった。

 

 

 恥ずかしさに口ごもる彼を無言でただ見詰める男性。

 

 

 たまらず彼は「さっきから子供に呼び鈴のいたずらされてまして……」と言い訳をし始めた。

 

 

「……どちらさまですか?」

 

 

 二言ほど言い訳を聞いてもらった最後に、彼は見覚えのないその男性に尋ねた。

 

 

「あの……」

 

 

 その沈黙と雰囲気に圧され、彼が言葉を探していると男性は会話の途中だというのにも関わらず、

 

 

 ポケットから携帯電話を取り出してどこかに電話をし始めた。

 

 

 聞いたことのない言葉だった。無意識に彼は『英語かな?』と思ったそうだ。

 

 

 こちらの顔を睨みながら電話をする彼に苛立ちと薄気味悪さを感じた彼は、

 

 

 扉を閉めようとするが、足をひっかけられてそれを防がれた。

 

 

「ちょっと外に出てもらえますか」

 

 

 ようやく口を開いた男性は、彼をドアの外へ出るように指示をした。

 

 

 


◆真紅の空に

 

 

 

 彼は外に出ると改めて空の赤さに違和感を覚えた。

 

 

 なにか自然災害の前触れではないかと、恐怖に似た不安さえも抱いたそうだ。

 

 

「詳しくはまだ教えられないのですが、私と一緒について来てもらえますか」

 

 

 名前も名乗っていない、その知らない男は出し抜けにそう促してきた。

 

 

「あの……それよりもあなたどちらさまですか」

 

 

「私の名前は○○です」

 

 

 男性はかなり変わった苗字を名乗った。変わった苗字だな、と彼も思ったが彼は驚かなかった。

 

 

 いや、むしろ別の次元で驚いたのだ。

 

 

 なぜならば、その男が名乗った苗字はスレ主の彼と同じ苗字であったから。

 

 

「え、俺も○○ですよ」

 

 

 変わった同姓の男に親近感が沸き話に乗るとまた男は携帯電話で話し始めた。

 

 

 その奇妙で異質な空気に彼は妙な興奮状態に陥っていく。

 

 

 そんな朦朧としたような状況であった彼の目の前に一台の白いバンが止まり、

 

 

 中から顎鬚を蓄えた別の中年男性が現れ、彼を拉致したというのだ。

 

 

 


◆夢オチだった……のか?

 

 

 

 走る車の中で、時折日本語のような言葉を話すものの、

 

 

 その会話のほとんがごにょごにょと分からない言葉で話している二人を放心した状態で眺めていた彼は、

 

 

 走ってゆく景色に対し、更に違和感を募らせる。

 

 

 その流れる景色は確かに自分の知る景色ではあるのだが、ここにあったはずの駅がない。

 

 

 毎日見ている景色だ、間違えるはずもない。

 

 

 だが、あるべきはずの場所に駅がないのだ。

 

 

「あの、これって拉致じゃないんですか? そうだったらこれは立派な犯罪ですよ」

 

 

 勇気を振り絞ってそう糾弾してみるが、男は笑い

 

 

「拉致? ……拉致と言えば拉致なのかもしれませんね。ですが、その前にもう少し自分の置かれている立場をお考えになられたほうが良いですよ」

 

 

 と意味不明な回答をされた。

 

 

 そうこうしている内に停車し、降ろされたそこは橋の上だった。

 

 

 赤い空を除いてはその車も実在するものだし、ナンバープレートも荒く削り取られてある。

 

 

 自分がなにかに巻き込まれていることは自覚していたが、

 

 

 赤い空やこの二人の男性、そしてあるべきはずの駅がないということも踏まえ、

 

 

 これは夢ではないのか? と思っていた。

 

 

「リアルな夢だな……」

 

 

 そうつぶやいたのを聞きのがさなかった男は彼に近づき言った。

 

 

「夢、ですか。 じゃあ、夢だとおもってここから飛び降りてください」

 

 

 その橋から地上までは10メートル以上はあった。

 

 

 いくら夢だとしても怖い高さだ。

 

 

「大丈夫ですって、夢じゃないけど夢だと思えば……ほらっ!」

 

 

 ドン

 

 

 突き落とされたところで目が覚めた。

 

 

 


◆現実に帰ってきた、はず

 

 

 

 目を覚ますと朝の9時。

 

 

 ほぼ一日が経っていたことになる。

 

 

 ……え、夢?

 

 

 そう思って顔を上げてみると、家を出るまで食べていたコンビニ弁当の残りがあった。

 

 

 どこからが夢だったんだ?

 

 

 そう思い部屋に変わりがないか見回ろうとした。

 

 

 小さな痛みに気付いて足の裏を見ると、アスファルトの上を歩いた後のように汚れていた。

 

 

 小さな小石と、灰色に汚れた足。

 

 

 そして小さな痛みの正体は小石によって切った親指だった。

 

 

 夢から覚め、覚醒しているはずの頭は混乱したままだった。

 

 

 あれは……夢だったのか?

 

 

 

【ヴォイニッチ手稿その3】



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