【ホラー短編】名前を書くだけで人を殺せるノートが本当にあったら
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みんなあの漫画読んだことある?
俺はもちろんあるよ。
映画も観たし、アニメも観た。
いや、だからって言って熱烈なファン……ってわけじゃないよ。
流行りもあったし、面白かったのは確かだし。
あのノートが本当にあったら……なんて考えたらゾっとするよね。
……けどさ、本当にあったんだよね。
そんでももって今それが俺のカバンの中にあるってわけ。
怖い?
そうだよね、そりゃ怖い。
けどさ、見ず知らずのキミを殺すことなんてできないし、
なんらかの方法で名前が分かったとしても顔までわかんない。
結構不便なもんなんだよ。
ニュースに移る人を殺しても仕方ないし、っていうか殺したい人自体がそんなにいない。
神様はこんなニュートラルな僕だからこのノートをよこしたんだろうか。
けど折角持ってるんだから使わなきゃ勿体ない。
けど誰かに売ったりとかすると怖いしなぁ。
そこに自分の名前なんか書かれた日なんかたまったもんじゃない。
うーん考えれば考えるほどダメだ。
やっぱり金庫にでも入れとこうかな。
……あ、ごめんごめん。
今、友達から電話があってさ、ビルの建設反対運動を手伝ってくれって言うんだ。
そんな慈善活動みたいなの面倒だ、って言ったんだけどさ。
「いてくれるだけでいいから」って
しかも「お礼はする」だって。
要は見た目の頭数だけでも揃えたいってことらしい。
俺を誘ったその友達も実はお礼が目当てでビルの建設自体はなんとも思ってないんだってさ。
うはは、そっちのほうがオニじゃねー?
バイトも辞めたばっかだし、お金もらえるんならお手伝いくらいしますよ
喜んでね。
そんなわけで駅前に来たわけだけど、なにこの黄緑のダサいベスト。
【○○町を救え! ビル建設反対!】
だって。ヤバイ超ウケる。
「○○君、悪いけどちょっと車にある段ボール持ってきてくれるかな」
「はい」
雑用は俺の仕事……と。特にハードでもなんでもない楽ちんな仕事だ。
あー早く帰ってネトゲーしてー。
「これ、なんの署名なんですか?」
「あ、ビル建設の反対運動です! よかったらご署名頂いてもよろしいですか!?」
「あ、はい。いいですよ」
「おい、署名用紙は?」
「今バイトが車にとりに言ってる」
「それじゃ時間かかるな、なんか紙ないのか」
「あ、このノート、サラじゃん」
「おい、それ誰のだよ」
「わかんないけど、あとで謝ったらいいじゃん。ノートなんて安いもんだし。ここに署名もらおう」
「じゃあ、もう始めるか」
「そうですね」
「そのノート、ページ千切ってみんなに配って」
「ビル反対にご署名お願いしまーす!」
「あ、ありがとうございます! ここにお名前を」
「ここにご署名を……」
車の場所までえらく迷ってしまった。
あれから30分くらい経ってしまったけど、怒られっかな?
あーマジでミスったなー。
ん、救急車? うわ、うわうわ、すげー何台も……
駅に行ってるみたいだ、なんかあったのかな。
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