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怪談 / 「ふたりめ」 ラジオで披露した怪談を公開

公開日: : 最終更新日:2015/02/15 おもうこと, ショート連載, ホラーについて

病院

■怪談 『ふたりめ』

 

 

 

どうも最東です。

 

 

記事の中ではあまり季節や時期を思わせる記述をしないように心がけています。

 

 

それはなぜかというと、ホラー作家のブログ記事なわけですから出来るだけ時期や季節に左右されないものを皆さんには読んでもらいたいという意図があるからであります。

 

 

さて、そんな前置きをしましたが、実は私、最東対地ですが去る2014年9月17日に和歌山県のラジオ局【FMはしもと】の番組、『shilfeeのinterview with you!』に出演し、生放送で怪談を一つ語ってきました。

 

 

聞き逃した人が大半だと思いますが、(告知しない方が悪い)今回はその時に語った怪談の原稿をご紹介しようと思います。

 

 

 

■ご存知ですか?

 

 

 

さて、みなさんはこんな話をご存知でしょうか。

 

 

とある廃病院に肝試しに訪れた若者たち。

 

 

その中の一人が、霊が出ると噂の手術室の床に散乱したカルテを、記念にと持ち帰ったそうです。

 

 

肝心な肝試しはというと、不気味な雰囲気を味わうことはできたものの、特に幽霊が出たりするようなこともなく、適当にワーワーキャーキャーと騒いで終了したのでした。

 

 

ですが帰宅後、カルテを持ち帰った若者の一人の携帯電話に、非通知で着信があり、電話に出てみると

 

 

「○○病院ですが、昨日持ち替えられたカルテを返却ください」

 

 

と女性から言われたそうです。

 

 

怖くなり仲間と返しに行くと、「返却ありがとうございます」と、すぐに電話があったという……。

 

 

このようなよく聞くお話が生まれるように、肝試しと言えば神社や学校、そして廃病院が定番……といってもいいでしょう。

 

 

今回お話するのも、そんなとある廃病院に肝試しに訪れた若者たちの身に起こった、恐ろしい体験談です。

 

 

 

■肝試しの病院

 

 

 

そのとある廃病院と言うは、関西の某所にありました。

 

 

病院なのにも関わらず山手にあり、非常に交通の便が悪いところだったらしく、それも災いしたのか開院して数年で閉院したということでした。

 

 

当然そうなれば、地元の若者たちの間で、廃病院となったその病院は格好の心霊スポットとなり、肝試しのメッカとなったのです。

 

 

ここに5人の若者がいます。

 

 

仮に彼らをA君、B君、C君、D君、E君と呼ぶことにしましょう。

 

 

A君が買ったばかりの車に彼らを乗せ、真夜中のドライブへと洒落込んでいた時、行く場所もなくなったA君の提案で急きょ肝試しをしようということになりました。

 

 

この病院は地下にある手術室から髪の長い、得体の知れない女性の霊が現れると噂の病院だったそうです。

 

 

病院についた彼らは早々にあることに気付きます。

 

 

懐中電灯を持っているのが、A君のみだったのです。

 

 

たった一本の懐中電灯で、大人5人が廃病院を探索するのは危険なようにも思えましたが、誰も彼もが臆病者だと思われたくない一心で、平気だと虚勢を張り、結局ライト一本で肝試しを行うこととなりました。

 

 

病院の中に入り、例の地下手術室へ行こうとするとどうやらエレベーターでしか行けないようになっているようで、下にいくことが出来なかったのです。

 

 

どこか下に続く階段もあったはずでしたが、それもどうやら扉の鍵が閉められているようで開きません。

 

 

5人の中で諦めに近い空気が流れ始めた時、A君があることを思い出しました。

 

 

知り合いから地下に行く方法を教えて貰ったことがあるというのです。

 

 

半信半疑でA君についてゆくと病院の外側、丁度正面玄関から真裏に位置する場所にゴミ捨て場かと思われる鉄の箱のようなものがありました。

 

 

その箱は病院の壁とくっついて設置されており、よくよくみると何故こんな場所にゴミ捨て場があるのかと疑問に思うような場所だったのです。

 

 

するとA君は次のように言いました。

 

 

「この場所は病院がやっていたころにシーツの業者さんがシーツを搬入するのに使っていた搬入口らしいんだ。ここの病院はシーツとかを洗う場所が地下にあったからここに設置したらしい」

 

 

A君はそう言ってフタのような扉を上に押し上げると中を覗き込み「よし、入れるぞ」と興奮気味にいったのです。

 

 

その光景に若干嫌な予感を抱きながらも他の4人は先々入ってゆくA君に続いて行きました。

 

 

 

 

 

■病院内で起こる怪異

 

 

 

A君が入り、B君が次に搬入口から中へと続いてゆきます。

 

 

中に入って見ると、搬入口は大人の肩くらいの位置にあり、入る時はいいものの、出る時に少し苦労しそうな印象でした。

 

 

恐らく少し勢いをつけて一気に昇るか、もしくは上から誰かに力を貸してもらうか。

 

 

A君を除き、中に入って彼らはこぞって出る時の不安を感じていたのです。

 

 

A君はわざとらしく大きな声を出したり、物音を出してりしながら先頭を歩いてゆきます。

 

 

1つしかない懐中電灯で先へ進むA君に続いて、B君とC君も急いでついてゆきました。でないと暗くてほんの少し先も見えないからです。

 

 

「ちょっと待ってやー」

 

 

D君、E君が入るのを待たずに進む三人に対し、彼らはいそいそと搬入口から降りるのにまごついているようでした。

 

 

「あ! あそこちゃうん!?」

 

 

A君が懐中電灯の明かりを照らしたのは、ドアの取っ手を鎖でぐるぐる巻きにされた部屋……。次にドアの上を照らすと「手術室」と書いてありました。

 

 

「うわーーー!」

 

 

突然、A君が大声で叫びながら出口に向かって走り出しました。

 

 

何事かと思いなにがなんだかわからずに、B君も逃げ出すA君について走ります。

 

 

そしてA君からそこそこ離れていたC君は、A君たちが戻っていくのに状況が飲み込めず、暗闇でおろおろとするしかありません。

 

 

最後尾のD君、E君はC君よりも訳が分かっておらず、やっと中に入ったところだったのでただ一目散で搬入口から出てゆくA君とB君を見詰め、キョロキョロとするだけでした。

 

 

残された3人はというと、唯一ライトを持っていたA君がいなくなったことで、暗闇に取り残され、次第にパニックに陥ってゆくのでした。

 

 

「ちょっと……! なんで逃げたん?!」

 

 

誰かが叫ぶのも空しくさっさと外に逃げ出してしまった二人にはその声は届きませんでした。

 

 

一方、外では急に逃げ出したA君にB君が問い詰めます。

 

 

「なんでお前急に逃げ出したんや? なんかおったんか?」

 

 

「いやーなんかおったような“気がした”だけ」

 

 

と意地悪な笑みを見せ、直感的にそれがただ他の連中を怖がらせたいだけのポーズだったのだと、B君は悟ったのです。

 

 

■おふざけで終わるはずだった肝試し……

 

 

 

同じ頃、暗闇の中で微かな出口の光を辿って、外に向かおうとしていたC君は次第に目が慣れてきた暗闇の中で、信じ難いものを見てしまいます。

 

 

鎖でがんじがらめにされているドアが、

 

 

ガチャン、

 

 

と音を立てて開くのを見たのです。

 

 

「うわああああっっ!」

 

 

A君の時とは違う絶叫を上げると、暗い病院内を何度も転びそうになりながら走り、D君とE君を追い抜きました。

 

 

「なに?! どうした?」

 

 

「やばいやばいやばいやばい! はよ出よう!」

 

 

錯乱気味に叫ぶC君の走る背中を見ていると、もう一度『がっちゃん』という音がはっきりとD君とE君の耳にも届き、C君が陥っているパニックの正体を察したのです。

 

 

「逃げろぉおおおお!」

 

余りの恐怖に足元をからませながら必死で搬入口へと走ります。

 

 

ですがパニックに陥った三人は、大人一人が辛うじて出られる出口で団子状態になり、半狂乱になって外の二人に助けを求めました。

 

 

「ははは、なんやねんあいつら。仕返しに俺らびびらすつもりなんちゃうん」

 

 

「ほんまやなー」

 

 

なんて話していましたが、余りにも必死な叫びにB君は不審に思いました。

 

 

「……なんかちょっと、あれマジちゃう」

 

 

A君は「ほっとけ」と笑いましたが、B君は搬入口へと走り中を覗き込むと、3人が必死で手を伸ばし泣き叫んでいたのです。

 

 

「俺の手に掴まれ!」

 

 

その緊迫した状況を見てB君は咄嗟にC君達に手を差し伸べ、一人ずつ引き上げることにしました。

 

 

C君が引き上げられている間、D君とE君の耳には後ろから

 

 

コツ、コツ、コツ、

 

 

と足音が近づいてくるのが分かりさらにパニックになり叫べ続け、C君に続いてD君が引き上げられている頃には、E君のすぐ後ろでその足音は聞こえていたのです。

 

 

コツ、コツ、コツ。

 

 

やっとの想いで全員が外に出ることができ、全員がA君に向けてすぐにここを離れるように強く言い放ちました。

 

 

状況がよくわかっていないA君はみんなに責め立てられるままに車を出し、その場を離れ、パニック状態だったみんなは次第に落ち着きを取りもどすと、先ほどの恐怖を噛みしめ誰もが無言になったのです。

 

その翌日から何の変哲もない日常が彼らに戻ってきました。

 

 

昨日の晩の恐怖を一刻も早く忘れたかった彼らは、あの夜からしばらく会うことは無かったのです。

 

 

そんなどこか疎遠になった彼らでしたが、ある出来事が自分たちの知らないところで起こっているのをひょんなことから知ることになりました。

 

 

 

――B君がいなくなったのです。

 

 

 

■B君はなぜ消えた?

 

 

 

どこに行ったのかもわかりません。

 

 

連絡もつかず、彼の両親ですらもどこに行ったのかわからないといった状態でした。

 

 

やがて捜索願が出され、B君は捜索されましたが彼は最後まで見つかりませんでした。

 

 

 ……なぜB君なのでしょうか?

 

 

あの夜のことを後に思い返し、E君がぽつりとみんなに話しました。

 

 

あの搬入口から最後に引き上げられたのはE君で、その時にE君は何者かにズボンを引っ張られたそうです。

 

 

一体なにに引っ張られたのかはわかりませんが当時は恐怖のあまりそんなことを考える余裕がなかったのです。ただひとつ強烈に覚えていることがあったそうです。

 

 

自分を引き上げてくれているB君が物凄い形相で自分を引き揚げながら、【自分の後ろにいる何かを見ていた】と……。

 

 

一体、B君は何を見たのでしょう。そして彼は、どこへ行ってしまったのでしょう……

 

 

みなさん、肝試しに行くときは、ちゃんと懐中電灯は人数分持って行きましょうね。けれど行かないのが一番懸命です……。

 

 

 

 

 

【関連記事】

 

千日デパート

 

血まみれの女

 

大島てる

 

【外部リンク】

 

FMはしもと

 
Shilfeeのinterview with you!

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