*

イレイザーヘッド / ホラー映画レビュー

公開日: : おもうこと, ホラー映画

7c42d43f

 

 

 

■とても恐ろしく、狂った作品を見ました。

 

 

 

どうも最東です。

 

 

今回はデヴィッド・リンチ監督の長編デビュー作『イレイザーヘッド』をご紹介します。

 

 

これまで私はそこそこの数、ホラー映画を観てきましたがその中でも群を抜いてこの映画は狂っています。

 

 

というより、この映画に於いては【狂っている】という定義が正しいのかどうかすらわからなくなってしまうような映画です。

 

 

デヴィッド・リンチといえば『エレファントマン』や『ツインピークス』が有名ですが、そのほかにも『ブルーベルベッド』、『ワイルドアットハート』など代表作は枚挙に暇がありません。

 

 

しかしそのどれも一般的に「難解である」と評され、その作風にカルト的な指示を持つ監督して有名なのです。

 

 

さて、そんなカルトな人気を誇るリンチ監督のデビュー作である本作は、1977年制作にもかかわらず、意図的にモノクロカラーで撮影されています。

 

 

この色彩の少なさが、むしろこの映画を象徴していると言ってもいいのですが、やはりこの映画を語るうえでそれだけで済ませるわけにはいきません。

 

 

 

■あらすじ

 

 

 

印刷工のヘンリーは、角ばった天然パーマでまるで消しゴムつきエンピツのような頭(イレイザーヘッド)が特徴的な男だ。

 

 

とあるアパートで一人暮らしをしているヘンリーの下に、恋人のメアリーから夕食にと自宅へ招かれる。

 

 

そこでヘンリーはメアリーが自分の子供を産んだことを知らされ、彼女との結婚を迫られた。

 

 

そしてヘンリーとメアリーは赤ん坊と一緒に暮らすことになるが、その赤ん坊は奇怪な姿をしており、メアリーはそれを悩みに家を出て行ってしまう。

 

 

 

■あらすじ?

 

 

……とまぁ、おおざっぱに説明するとこういう感じのお話ですがとにかく作りが恐ろしい。

 

 

エアコンのファンのような、工場のモーターのような振動する音が常に流れており、夕食に出されたチキンの丸焼きからは血が滲み、ぴくぴくと動き始める。

 

 

登場するメアリーの家族や、アパートの隣人、夢の中に現れる頬のただれた女性歌手など、だれもかれもが、奇妙で異常な言動を繰り返し、ヘンリーを悩ませます。

 

 

ですがもっとも異常なのはヘンリー自身で、彼自身が夢と現実の境が曖昧になってしまい、どこからどうみても人間ではない赤ん坊に翻弄されてゆくのです。

 

 

全く微動だにしない老人や、未知の病にかかる異形の赤ん坊、ことあるごとに登場する内臓のような臓物。

 

 

ストーリーなどあってないようなもので、観客は一体なにを見せつけられているのか全くわからず、ただただ茫然とし、不快な気分になってゆきます。

 

 

この映画のファンは、繰り返し見ることで今作を神格化している方もいるようですが、少なくとも私は一回の視聴ではなにもわかりませんでした。

 

 

ただ、映画としての破壊力は存分にあり、一度観たらその強烈な映像や音を忘れられなくなるでしょう。

 


 

 

■製作・監督・脚本・編集・美術・特殊効果をたったひとりで

 

 

 

デヴィッド・リンチの処女作である今作は、彼のすべてがここに詰まっているといっても過言ではないでしょう。

 

 

制作に5年の年月を要し、さらには製作・監督・脚本・編集・美術・特殊効果まですべてひとりでこなして完成させたといいます。

 

 

確かに今作のみを一度鑑賞しただけでは、理解不能な難解な世界観に首を傾げるかもしれません。

 

 

ですが、リンチ監督のその後に続く作品には『イレイザーヘッド』に凝縮された様々なシークエンスが散りばめられているのだとわかります。

 

 

映画監督には様々な監督がいますが、これほどまでに『人間』そのものの内面を描いた作品があるでしょうか。

 

 

本作を解説する映画評論家の中には、「望まずに親になってしまったヘンリーとメアリーの未熟で未準備な深層心理を表現している。奇形の赤ん坊は、本当は奇形なのではなくヘンリーから見れば、将来の漠然とした不安のため奇形のように見える」と解説する方もいます。

 

 

実際、そのように観ようと思えば観えなくもないのですが、それらを覆いつくしてしまうほどの気味悪さとおぞましさがこの映画に孕んでいるのではないでしょうか。

 

 

■他のホラー映画と比べて

 

 

 

この映画のカテゴリーをホラーとしていいのかどうかはわかりませんが、私としては完全にホラーといえるでしょう。

 

 

武器人間やネクロマンティック、食人族など紹介してきた当ブログですが、『イレイザーヘッド』はそんなカルト的ホラー映画の中でも最高峰といえます。

 

 

例えば、私が崇拝する『ドーン・オブ・ザ・デッド(邦題:ゾンビ)』には、ジョージ・A・ロメロの美学が詰め込まれていました。

 

 

この映画にもそういった美学はあるとは思うのですが、あまりにも自由に突き抜けすぎていて万人受けなど微塵も考えない【こだわりの塊】という側面が強いように思います。

 

 

テキサス・チェーンソー・マサカー(邦題:悪魔のいけにえ)は乾いた映像美がありましたが本作はそのまるで逆。

 

 

【ぬめりとした湿気を感じさせる映像美】があります。

 

 

まるで他人が見ている悪夢をのぞき見しているような、恐ろしく不快で奇妙な映像体験。

 

 

貴方もいかがでしょうか。

 

 

 

 

★……測定不能

 











 

 

スポンサードリンク



関連記事

彼はなぜ死んだか / プチエンジェル事件が孕む闇

      ■マンションの一室で発見された男の死

記事を読む

未解決事件 / 続・世田谷一家殺人事件

■14年目の変動       どうも最東です。

記事を読む

角川三賞受賞パーティー2017

■あれから一年     どうも最東です。  

記事を読む

■標識通りに行け

  ■標識通りに行け      

記事を読む

残酷拷問史② / 怪奇夜話

      ■より苦しみを。痛みを。 &nbs

記事を読む

3回見たら死ぬ絵 / ズジスワフ・ベクシンスキー

  ■【閲覧注意】の代名詞      

記事を読む

no image

ホラー映画レビュー/WORLD WAR Z

■ホラー映画あれこれ       どうも最東で

記事を読む

心霊スポットドライブ / 【怪談】

    ■たまには怪談でも……    

記事を読む

no image

いわくつきの映画3 / ポルターガイスト

■ハリウッド映画界の大傑作       どうも

記事を読む

人食について / 佐川一成という食人鬼

■隣人を愛せよ       どうも最東です。

記事を読む

スポンサードリンク



Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

スポンサードリンク



【連載】めろん。1

■めろんたべますか ・綾田広志 38歳 刑事①

【夜葬】 病の章 -1-

一九五四年。 この年の出来事といえば、枚挙に暇がない。二重橋で一

【連載】めろん。27

めろん。26はこちら ・大城大悟 38歳 刑事

本当はないんでしょ
『おるすばん』(角川ホラー文庫刊 2019/9/21発売)

■角川ホラー4冊目   どうも最東です。   角川ホラー文庫

【連載】めろん。26

めろん。25はこちら ・大城大悟 38

【連載】めろん。25

めろん。24はこちら ・大城大悟 38歳 刑事

【連載】めろん。24

めろん。23はこちら ・早乙女 公佳 16歳

→もっと見る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

PAGE TOP ↑