【怪紀行】多田清御大ふたたび……兵庫・但馬大仏 2
■デ・ジャヴュ
早くみんなに見せたいという欲求に駆られ、先走って紹介してしまいましたが金色に輝く但馬大仏に辿り着く前に、どこかでみたような金剛力士像が参拝客を挟み撃ち。
いやいや、金剛力士像なんてちょっと大きなお寺にはいるのでだいたい見たことがあるのですが……まあ、そういうことではなく、その多田的というか。
ボンタン色の肉体が眩しい、二体の金剛力士像を見上げそんなことを思っていると、あそこよりも綺麗だと気づきます。
あそこってどこ? ほら、あそこですよ。 つリンク
勝手な想像ですが、ここもまたあそこと同じように廃れた半分廃墟のような場所かと思っていました。しかし、実際訪れてみると決してそんなことはなく、受付窓口を含め数人の職員が各所にいます。
私たちが訪れたこの日はさらに境内の手入れで清掃業者が作業中でした。
ブボーッ、という音を轟かせて伸びた草を刈っていました。
さらに晴れているせいかと思いましたが、社殿・本殿どちらもとても綺麗な状態でありきちんと管理されていることがひと目でわかります。
越前大仏のような寺院をイメージしてやってきましたが、どっこいしっかりとしたお寺でした。ごめんよ但馬大仏……。
さらに長楽寺は山奥にあるというのもあり、景色が素晴らしいです。エレベーターがついていない五重塔(注:画像はエレベーターがついている五重塔)を上がると、荘厳とした山脈を望むことができ心が洗われるようでした。グッバイ穢れた心。
この時点でイマムと私は「ああ、なんか根本的に違うぞ」と思いました。
確かにどこかで見たようなデ・ジャヴュはあちこちに散見されましたが、どこをとって見てもしっかりと管理され維持がされています。
前出でも触れましたが、三体もある巨大仏像の状態を見ればそれは一目瞭然。
開眼して三十年も経っていませんが、しっかりと金色に神々しく輝きを放っています。壁に無数の仏像がレンタルケースの商品のように犇めいている様は、「ああ……多田さま……キュンッ」と懐古心をくすぐりましたが、それも含めてちゃんと管理されているのがわかりました。
なんというか、当たり前のことでわざわざ言うことでもありまぜんがしっかりと「大切にされているな」という気持ちが伝わります。
なにより隙間さえあれば神様置いちゃえ☆の精神に頭が下がる越前大仏とは違い、そういった下品さがない。ほぼ廃墟の門前町のような廃れた雰囲気もなく、神聖な空気が漂っていました。
もはや仏像のテーマパークと言っても過言ではない越前大仏。
但馬大仏は『奈良の大仏より大きい』という謳い文句と開眼から三十年と断たない若さこそありますが、美しい山々に囲まれる素晴らしい大仏殿でした。
■それはいいんすか?
さて、但馬大仏をお参りし順路を辿って大仏殿の裏に出ると薬師寺が迎えてくれます。
散々大きいもの、夥しい数のものに圧倒されたあとなので、達観した表情で一瞥するのみに留めました。(決して見どころがなかったわけじゃないんだから!)
そしてお次は五重塔でも上ってやんよ、と歩きだしたところで正面からプレッシャーを浴びました。
この強い威圧感と緊張感はなにかある、と目を凝らしたところ凛とした横顔……そのシルエットが飛び込んできました。
「こ、これは……ッ!!」
そこに鎮座していたのは、多田清御大。
まさかこんなところで会えるとは、と思いましたが銅像でした。
「銅像でした」と、軽く書きましたが銅像になるということはすごいことです。そばの看板を読むに、長楽寺にとって多大なる貢献をした人物。いかに多くの人たちに感謝されているのか表しているかのような、威厳あるお顔です。
実際、最東もネット以外で多田氏を拝顔するのははじめてでした。(よく見ていなかっただけでもしかして清大寺にもあったかも)
おもわずパシャリパシャリとカメラに収めます。
清大寺ほど広大ではありませんが、その分ぎゅっと見どころが凝縮されている長楽寺五重塔に、いよいよ上ります。
五重塔を上がるのは清大寺に続き二度目ですが、各階層に仏像があるのはそういうものなのでしょうか。
それまでは清大寺がパリピってるのかと思っていましたが、ここへきて考えを改めないといけないようです。ただ……不可解というか罰当たりというか、「これでいいのか?」というものも。
ゆるい階段で階層を上がっていきながら、要所要所で長楽寺で行われた祭事の写真や記事などが飾られていましたが、その中に如来様の胸像がありました。
ありがたいものなのはわかりますが、頭に賽銭を置くのはどうなんでしょう……。
これについて正しい作法などどこにも記してなかったので、かなりおかしく思いました。お寺側がこのやり方を奨励してるとか?
ともかくイマムと共に首を傾げながら推察がはかどります。
■長楽寺はどんなところ?
色々と書き綴ってきましたが、総じて長楽寺はとても良いところでした。
我々が訪ねた日は天気もよく、五重塔からの展望が最高だったこともありロケーションとしては申し分なかったです。
今は但馬大仏の歴史が浅く、注目が集まりづらいかもしれませんがこの先数百年後には非常にありがたい大仏殿として著名になっていることも充分あることだと思いました。
そもそも但馬大仏三体の開眼から歴史が浅い、というだけで長楽寺自体は由緒あるお寺です。
香美町HP内、観光情報ページに記載されている記事には、
当山は、約1200年前天平年間に八鹿山薬師寺として行基が開創した霊場で、弘法大師も訪れたというゆかりの古刹です。天文11年(1543年)、天災により再建。名を川会山長楽寺と改め経ること数百年、平成6年4月、世界最大級の木造三大佛が落慶開眼されました。
https://www.town.mikata-kami.lg.jp/www/contents/1115980206906/index.html
とあります。
越前大仏のある清大寺と比べて霊場としても寺院としても非常に歴史があります。
なにしろ山々に囲まれ静かなのがとてもよかったです。
近くの名所には湯村温泉もあり、ちょっとひとっ風呂ついでに立ち寄るのはいかがでしょうか。きっと後悔はしないと思いますよ。
そして、俺たちの多田清御大はやっぱりすごい人だった!
→怪紀行 兵庫神子畑選鉱場・豊岡バーガーシティ
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