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■映画にみる食人表現 / 神の肉

公開日: : 最終更新日:2016/03/01 おもうこと, ホラーについて, ホラー映画

人食について

■おいしいお肉ができるまで

 

 

 

どうも最東です。

 

 

「またか」とおっしゃる方もいらっしゃるかと思いますが、また【食人】のお話しです。

 

 

私事ですが、やはり幼少期に受けたトラウマというのはその後の人生に於いても大きく影響を残すようでして……。

 

 

しかし私のような恐怖の価値観をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

 

 

それほどまでに「人が人を喰う」というのは異常で、常軌を逸した行動だと思う訳です。

 

 

ですが、この食人行為ですがシチュエーションによっては正当化される……いえ、観た者の中で、といったほうが正しいでしょうか。

 

 

というのも次にお話しする事案に関して僕は感動的ではなく恐ろしいエピソードだと思うからであります。

 

 

 

■神聖な肉

 

 

 

みなさんは『生きてこそ』という1993年の公開された映画をご存知でしょうか。

 

 

簡単にあらすじをご紹介すると、ウルグアイのラグビーチームを乗せた旅客機が雪山に墜落し遭難したというものです。

 

 

一見シンプルに思えるこの映画が注目されたのは2つの点からです。

 

 

一つは、墜落し生存したメンバー達が飢えから逃れるために取った【ある行動】

 

 

もう一つはこの映画で描かれていることが全て実話であるということです。

 

 

余り焦らしても別段意味は無いので早々に明かしますが、墜落し生き延びた彼らが遭難し飢えを凌ぐために取った行動とはずばり「死んだ仲間の肉を食べること」だったのです。

 

 

これは止むを得ない行動であったということと、幸運なのか雪山であったため死んだ仲間の肉が腐らずにあった為に至った行為であるといえます。

 

 

この映画が上映された当初、ある程度の賛否はあったものの圧倒的なレビュアーたちから「感動した」と言われるのでした。

 

 

これはあくまで感動実話として描かれたのですが、これがヒューマンドラマとしてではなくホラーとして描かれていたどうでしょう。

 

 

作中では人の肉を「神の肉」と恐ろしい(と私は思っています)表現で表していますが、望んで彼らが死んだ仲間の肉を食べ、これにおどろおどろしいミュージック……そして口元に血のりなんかつけちゃったりしたらこれはもう立派な恐ろしいホラー映画です。

 

 

視点を変えればなんでも恐怖になり得る。

 

 

これが私のモットーでもありますが、当時の僕としては(現在もですが)食人を正当化するというのは如何なるシチュエーションであっても恐ろしく感じてしまうのです。

 

 

もちろん実話ですので人肉を食し生き延びた彼らは現在も元気に生きています。

 

 

やはり生を受けた以上は、命に対して貪欲に生きていかなければならない。

 

 

それは僕としても大賛成です。

 

 

救い……というのかは分かりませんが、この映画で唯一の救いと言えば「彼らは決して食べたくて人を食べたかったのではない」というところでしょうか。

 

 

極限の状況下でその判断を下せたのも、踏み切れたのも賞賛を持って拍手を送りたいと思います。

 

 

 

■神の肉を食べたい衝動

 

 

 

人間は食物連鎖の中でバランスを大きく壊している生命体といっていいでしょう。

 

 

と、いうのもこんなにも多種多様な動植物を食物として……いえ、食事を生きる為だけでなく娯楽の一環として接種している生物は人間を他於いてどこを探してもいないからであります。

 

 

あらゆる場面で人間が他の動植物と一線を画していると常々思っておるのですが、それはまた別の機会に記事として起こそうと思っていますが……

 

 

それは置いておいて、ご紹介した『生きてこそ』という映画の中で人食が美談として描かれていました。

 

 

前述の通りそれはあくまで【止む無き状況】であったからです。

 

 

人間の生存本能が引き起こした究極の選択……そういっても過言ではないでしょう。

 

 

ですが、このシチュエーションなど関係なく普段なに不自由なく普通に生きている現代人の誰かが

 

 

「人の肉が食べたい」

 

 

と思い、実際にしてしまったら……どうでしょう。

 

 

もちろんそのような事件はこの長い人類の歴史上多々あったことでもあります。

 

 

ですが、生物学的に人間は共食いを主とする生物ではありません。

 

 

これはなにも人間に限ったことではなく、他の生物でも共食いをする種族というのは珍しいのではないでしょうか。

 

 

育児のストレスから子を食べてしまうハムスターや、産卵の栄養のために交配したオスを食べるカマキリなど、もちろん共食いがそこにあるものとしての生物は沢山います。

 

 

ですが人間はそんなことはしません。子供も食べないし、夫を食べたりもしません。

 

 

でもたまにいるんです【食人欲求】が尽きない人間というのが。

 

 

 

■ゾンビに見る食人欲求

 

 

 

ゾンビ映画。当然主役はゾンビ。

 

 

ゾンビは元々人間だという設定が今考えても面白いし興味深いですよね。

 

 

死んだ人間が生きた人間を食べる。

 

 

たったこれだけなのにとんでもなく怖いことではないでしょうか。

 

 

人間の三大欲求というものがあります。

 

 

【食欲・性欲・睡眠欲】

 

 

この三つが人間が生きていくことに於いてもっとも強い欲求だといわれていますね。

 

 

私は思うのです。この三つの欲求はどれも人間の根底にある恐怖を引き出すものでもあるのではないか……と。

 

 

例えば性欲。性行為は本来子孫繁栄の本能のための行為です。

 

 

人間のように快楽……娯楽のために複数の異性と繁殖に繋がらない性交をする生物はいません。(最近ゴリラもそうではないかという説もあります)

 

 

人間の文化として考えればなにも恐ろしいことではありませんが、生物学的にはどうでしょう。

 

 

なにも生物学に詳しくなくとも、このなにも産まない性交の意味は恐ろしいのではないでしょうか。

 

 

では睡眠欲はどうか。

 

 

睡眠欲……睡眠は人間だけに留まらずあらゆる生物にとって必要なものです。

 

 

ですが、あらゆる学説の中で睡眠とは「死に至る儀式」だとも言われています。

 

 

眠っている間。人間が最も無防備になる状態であり、目を閉じて数時間その場に横たわる。

 

 

この数時間が永久だとしたらどうでしょう?

 

 

目を閉じて息をしていなければどうでしょう。

 

 

これを【死】というのではないでしょうか。

 

 

そう……睡眠とはそのまま死を連想させ、死を身体に刷り込むためのもの。

 

 

そのように捉えるとこれもまた恐ろしいことです。

 

 

さあ、それでは食欲。

 

 

私の中ではこれが最も恐ろしいものです。

 

 

その理由はここまで散々語ってきたので分かりますね。

 

 

そう、食べることはいいですが食べる内容です。

 

 

そこでゾンビにもう一度話を戻しましょう。

 

 

ゾンビとは空想上のモンスターです。ですが、ここまで市民権を得ているモンスターも珍しいのではないでしょうか。

 

 

ドラゴンのように火を噴き空を飛ぶ、フランケンシュタインのように怪力と巨大な身体がある訳でもありません。

 

 

同じ人型のモンスターとしてドラキュラなんかもいますが、それも蝙蝠に変身したり夜な夜な人の血を吸ったり。

 

 

ゾンビとは一番近い存在かもしれませんが、ドラキュラはそう沢山いないですよね。

 

 

それに彼はゾンビではない。ちゃんとモンスターとして生きています。

 

 

ですがゾンビは普通の人間がただ生き返ったものなのです。

 

 

ですが彼らは生きている人を食べます。彼らは知能がありません。彼らは歩きながら腐ってゆきます。

 

 

そしてなによりも人間の数よりも多く存在しています。

 

 

ゾンビが恐ろしいものとして私達に植え付けるのは、その夥しい量と【理由の分からない食人行為】であると言えるのではないでしょうか。

 

 

……お分かりでしょうか。

 

 

ゾンビは【食欲】ではなく【生態】として人を食べるのです。

 

 

元々人間であったのにも関わらず、人間とは全く違う生態で存在する。死した存在。

 

 

色々なホラー映画が存在しますが、ゾンビほどいつの時代も扱われる材料はないかもしれません。

 

 

その理由に、【訳の分からない=理解不能】というエッセンスがあるのではないでしょうか。

 

 

しかし、【生きた人間が食欲によって生きた人間を食する】

 

 

映画ではある種のタブー化されている面もあるこんな事案。

 

 

それはそれをテーマに扱った映画の数よりも現実の事案の方が多いからといえます。

 

 

さて、次回はそんな生き(ていた)た人間を食した人達についてお話ししましょう。

 

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http://youtu.be/mFkWsf4Un5k
【関連記事】

 

 

食べる

 

 

ネクロマンティック

 

食人族

 

 

 



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