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人食について / 佐川一成という食人鬼

公開日: : 最終更新日:2015/02/15 おもうこと, ホラーについて

2人食について

■隣人を愛せよ

 

 

 

どうも最東です。

 

 

これを書いている今は丁度8月も終わりが見えてきた20日でして、クーラーを効かせた部屋で黙々と記事を書いています。

 

 

こんな夏の時期に思い出すのは、やはり気色の悪い話や怪談ですよね。

 

 

気づけばこの「嗤う壷」で書いた記事もまあまあな量になってきましたが、不思議なことに「オカルティックな怪奇譚」よりも「人間の異常性による恐怖」についての記事や短編が多いことに驚きます。

 

 

しかしこれによって思うことは、やっぱり「生きている人が一番怖い」ということでしょうか。

 

 

念仏も呪文も昼も夜も関係なく私達を恐怖のどん底へ陥れるのはいつだって……隣の部屋に住む住民なのかかもしれませんから。

 

 

 

■佐川一政という男

 

 

 

さて、冒頭でも書いた通りこれを書いているのは2014年8月20日です。

 

 

ですので2014年8月20年現在彼はまだ『生きてのうのうと生活している』ということですね。

 

 

ここでテーマにするのはこの『生きてのうのうと生活している食人鬼』

 

 

佐川一成のお話です。

 

みなさんは『パリ人肉事件』というとある事件をご存知でしょうか。

 

 

 1981年6月11日、フランスの首都、パリに留学していた日本人留学生佐川一政(当時32歳)が友人のオランダ人女性留学生(当時25歳)を自宅に呼び出し、背後からカービン銃で射殺した。佐川は衣服を脱がせ屍姦したあと遺体の一部を生のまま食べ、また遺体を解体し写真を撮影して遺体の一部をフライパンなどで調理して食べた。

6月13日、残った遺体をスーツケースに収め、ブローニュの森の池に捨てようとしたところを目撃され逃亡。目撃者が遺体を発見し警察に通報し、2日後に逮捕された。

(Wikipediaより抜粋)

 

 

……という事件です。

 

 

非常に猟奇的な色が濃く、殺した女性を食べていたという異常性も踏まえ『日本人が外国で起こした猟奇事件』として当時は話題になったようです。

 

 

ですがこの事件が世間から注目されたのは事件よりももっとあとのこと、……いえ、【事件が注目された】というよりも【佐川一政自身が注目された】というべきでしょう。

 

 

 

■帰ってきた食人鬼

 

 

 

1984年。佐川一政はなんと帰国します。

 

 

一人の少女を殺して食べた犯罪者としてではなく【病人】としてです。

 

 

どういう経緯で帰国したのか、気になりますよね。

 

 

1981年6月15日に佐川はフランス警察により逮捕されています。

 

 

彼はフランス警察に身柄を拘束され、殺人を自供までしました。

 

 

そしてその後、取り調べの中で彼が「1歳の頃に腹膜炎を患った」という供述を現地通訳が「脳膜炎」と誤訳したことから、精神鑑定を受けた結果『心神喪失状態での犯行』と判断、不起訴となったのでした。

 

 

その頃に日本ではこの事件が大きく取り沙汰されており、それを知った佐川はある劇作家に自身の引き起こした人肉事件を映画化するためのシナリオを依頼します。(彼は拒否し、佐川が嫌がっていた手記を編集したもので賞を受賞します)

 

 

……どういう思考回路をしているのでしょうか。ちゃっかりしているといえば聞こえは甘いですが、人を殺してその肉を喰らった異常犯罪者を野放しにする。

 

 

これこそが大きな過ちだったのではないでしょうか。

 

 

 

■帰国後

 

 

 

1984年に帰国し佐川はそのまま東京の精神病院に入院することとなります。

 

 

入院した先の精神病院では「佐川は人肉の性癖はない。恐らくはフランス警察に対するポーズであったと考えられる」とした上で次のように続けます。

 

 

「佐川は精神病ではなく人格障害。事件当時も心神喪失状態であったとはとても認められず、刑事責任を問われるべきである」

 

 

この時に病院側は佐川がフランス警察に語った「腹膜炎」が「脳膜炎」と誤訳したのではないかと説明した。

 

 

日本の警察も病院のだした見解と同様の考えをしており、日本国内においても佐川を殺人と遺体損壊の罪で逮捕する方針を打ち出していたが、フランス側が佐川の捜査資料の引き渡しを拒否したことから逮捕に至りませんでした。

 

 

帰国して1年と3カ月で退院した佐川は一躍時の人としてマスコミやメディアにもてはやされます。

 

 

その人気にあやかり佐川はそのまま小説家へ転身し、執筆活動に励むのでした。

 

 

警察の佐川逮捕はフランス側の協力拒否によって足踏みのまま終わり、佐川は人殺しの食人鬼なのにも関わらず、一般人と同じ生活に戻るという異常事態が起こったのです。

 

 

日本の犯罪史の中でもこんなにもスムーズに短期間で、社会復帰を遂げた犯罪者はいないのではないでしょうか。

 

 

 

■再び起こったムーブメント

 

 

 

1989年、宮崎勤事件が起こりました。

 

 

幼女を次々と殺し、その遺体を食べたという異常猟奇殺人事件は当時の日本全体を震撼させ、戦後の新しい時代が明るいものばかりではないという意識をもたらしました。

 

 

その後オウムの数々の事件や秋葉原無差別殺傷事件なども手伝い、海外における日本の平和神話は崩れ去ることとなりますが、その【平和大国日本の崩壊】の皮きりになったと言っても過言ではない、稀に見る以上事件でありました。

 

 

そして宮崎と同じ【異常猟奇殺人者】のお仲間である佐川は『宮崎勤の理解者』という呼び名で再びマスコミにもてはやされ、たちまちマスコミの寵児となりました。

 

 

その後、アダルトビデオにAV男優として出演したり、講演やトークショー、そして連載やコラムを持ち一時期は羽振りの良い生活を送っていたそうです。

 

 

しかし栄華は長く続かず、2001年にはほとんどの仕事が絶え生活は困窮し金融業者やあらゆる金策に手を染め、最終的には闇金に手を出す始末。

 

 

佐川本人はそんな落ちぶれた自分自身に対しても「全然反省していない」と飄々とカメラの前語りました。

 

 

2005年に両親が次々と他界した時、佐川は闇金の取立てに追われており死に目に会えなかったという。

 

 

なんとか葬儀には行こうと折りを付けたが社葬という名目で葬儀に参列することも拒否されたそうです。

 

 

両親の死後、その遺産で借金を返済した佐川は現在公団住宅にひとりひっそりと暮らしているという情報がありました。

 

 

その狂った経歴から、どこの会社からも雇ってもらえず生活にはかなり困っているみたいですが……自業自得。

 

 

……自業自得というには余りにも幸福な人生ではありませんか。

 

 

佐川はパリ人肉事件の際、殺して食べた少女を写真に収めています。

 

 

そしてこのネット社会、彼の名前を検索すればその凄惨な画像はなんの苦労もなくすぐに見つけだすことが出来、その画像を見た人達は(私も含め)こぞってこう思うに違いないでしょう。

 

 

「なぜこんな男が社会復帰をし何食わぬ顔で生活しているのだろう」……と。

 

 

これは愚かな法律に守られた愚かな男の話であります。

 

 

もしもあなたの大事な人が殺されその肉を喰われ、なのも関わらず外国でのうのうと一般国民として生活していたら……どうでしょう。

 

 

この国における法治絨毯の上でふんぞり返って笑うこの男が2010年にインタビューで語った言葉を最後に今回の記事を締めようと思います。

 

 

「もう白人は卒業した。今は日本人女性……特に沖縄の女性に食欲を感じます」

 

 

尚、佐川はまた人肉を食したいと語っている。

狂気にあらず!?―「パリ人肉事件」佐川一政の精神鑑定霧の中夢のなか―連続幼女殺害事件被告の告白めろん。

 

【関連記事】

 

 映画に見る人食/神の肉

ホラー小説/食べる

 

ホラー映画/食人族

 

めろん。

 

 



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