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福井県怪紀行① 鎮座する業・越前大仏(清大寺)その2






福井県怪紀行① 鎮座する業・越前大仏(清大寺)その1







■越前大仏を取り巻く世情




そもそも越前大仏は仏閣関係ではなく、一個人の事業として建てられました。




清大寺がある福井県勝山市出身の実業家、『多田清』がその人です。




大阪を中心に関西のタクシー界の礎を築いた立役者で、相互タクシーの創業者。




一代で財を築いた彼は『多田天皇』と呼ばれるまでになりました。




くわしくはこちらを参考に(外部リンク)




元々は裕福な家庭に生まれた清ですが、父親のお人好しな性格が祟ってたちまち極貧の生活に落ちてしまいます。




しかしそこは元来、宿していた類稀なる商才を発揮し、幾度の失敗を繰り返しつつ努力を惜しまず、人にはないひらめきと行動力で相互タクシーを躍進させました。




そして、タクシー界のドンにまでのし上がった清の最後の大仕事が故郷に恩返しをすること。つまり、福井県の象徴としての越前大仏の建立。




観光客を誘致し、故郷を盛り上げようというものでした。




しかし、肝心の参拝者、参詣者の数は開業当初から伸び悩み、思い描いたようには盛り上がりませんでした。




清本人も開業から4年後、病に倒れ息子の精一に事業の一切を託して他界。




多田天皇と呼ばれた天才が故郷・勝山市に遺したのは、あまりにも巨大で、異質な寺院と大仏でした。




後に臨済宗妙心寺派の寺院となり宗教法人となります。




拝観料は開業当初は3000円でしたが現在は500円。




1996年から納税が困難になり土地や五重塔を売りに出すなどしますが、努力の甲斐なく客足は落ち込む一方。




2018年には滞納市税約40億円を回収不可能と判断し、債権放棄に相当する不納欠損処理を決定。これにより清大寺の差押は事実上消滅。(ウィキペディア調べ)




そして、巨額の資金を投じて建てられた越前大仏と諸々の寺院たちは、多額の赤字を出し、市からも諦められてしまったのです。




見捨てられたわけではないのが救いといえば救いなのかもしれません。(一応の管理はしてあるので)




■大仏殿の仏像たち




さて、そんなヒストリーはありながらも大仏殿は壮観です。




目の前に鎮座する大仏像ですが、そんなバックストーリーを知っていると神々しさはありません。ただ悲しげに、どこか憐れささえ感じさせます。




それよりも私が感じたのは、人の業の深さ。故郷に錦を……というつもりだったのはわかりますが、それだけでこんなにも大掛かりで巨大な寺院を建てるでしょうか。




これは権力の象徴として、清が死してなお誇示したかったもののような気がします。




仏像の形をした欲望のようで、見上げるたびうすら寒さを感じました。




さらに大仏像の脇にはこれまた10メートル級の菩薩像と羅漢像の立像が左右2体ずつ、計4体並び、壁面にはさらに夥しい数の仏像がずらずらずらーっと並んでいます。












その数なんと約1300体!








巨大さのスケールと、物量(仏量)のスケールがすごすぎます。




大仏殿の中だけ、微かに錫杖を鳴らすようなBGMが流れており、神秘的というより怖い演出がなされていました。




■五重塔にもいくよ








すこし時は遡りますが、拝観窓口で拝観料を支払った際、職員の女性から「五重塔内にはエレベーターがありますのでご利用ください」と言われました。




イマムと「エレベーター?大阪城的なこと?」と話していましたが、いざやってくるとありました。エレベーター。中が金色です。








さすがたった30年前に建てられた五重塔。近代化がえぐい。




エレベーターは4階まで上り、最上階の5階へは階段で上がります。そして、勝山の景色を一望。いやぁ、絶景かな絶景か……山しかない。








こんなに高い塔の最上階からの眺めなのに、山と田んぼと民家しかない!




イマムともごもご言いながら、下りながら一階ずつ回っていくことに。




まず、5階には仏像さんたちがいました。ありがたい。








そして、4階には仏像さんたちがいました。ありがたい。








3階には仏像さんたちがいました。ありがたい。








2階には仏像さんたちが……白い!(2階の仏像だけ白かったので驚いて撮り忘れました)








こういうことはあまり言ってはいけないのだと思うのですが……




仏像の無駄遣いが過ぎると思います。








■勝山城博物館




五重塔から景色を眺めていた時のこと。




イマム「あそこの城はなんですかね?」




イマムがそういう方角を見ると、田んぼの中にぽつんと城が建っているのが見えました。








正直、越前大仏のインパクトがすごすぎて城くらいでは驚きませんでしたが、あまりに不自然な光景だったので、帰りに寄ってみることに。




するとそこはラブリー牧場みるく茶屋でした。




なにを言っているかわからないと思いますが、それがすべてです。




ジャージー牛乳ソフトクリームがあったので、それを買いつつ店員の女性に「あのお城ってなんなんですか?」と訊ねると、




「勝山の博物館ですね」と返事。




博物館? お城なのに?




そう思いつつ、なんの博物館なのか聞いてみるとどうやら勝山市の土地や歴史物などの博物館……、要は地域の博物館だそう。




こんなところにぽつんと珍しいな、と思っていると残念ながらこの日は休館日でした。




「でもお城の周りは自由に歩けますので」




そう聞いて、せっかくなのでそばまで行ってみることに。




ぱしゃり








石垣に竜。




全然わからないんですが、このセンスには既知感が……。




当然、門は閉まっていたのですがその横に『初代館長』として知っている名前が。




『多田清』




またお前かっ!











福井県怪紀行② 異界への入り口・ワンダーランド・東尋坊



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