小説 野生時代 152号に掲載されました
■うれしはずかし初掲載
どうも最東です。
4月27日に受賞した【第23回日本ホラー小説大賞】の特集が、『小説野生時代 第152号』に掲載されました。
恥ずかしながら私も読者賞の受賞者としてコメントを寄せておりますので、書店で見かけた際はちらりとお目にかかることができれば幸いです。(この記事の最後に私の受賞の言葉を転載しておきます)
私の受賞コメントが掲載されていることも非常にありがたいことではあるのですが、それ以上に今回、誰もが名前を知るプロ作家のみなさまに選評をいただけたことがありがたかったです。
さすがはプロ……と言っては少々偉そうではありますが、指摘された箇所はどれも納得できるものばかりでした。
現在(2016.6.14)、受賞した拙作『【夜葬】』はまだ改稿中の状態ではありますが、野生時代でいただいた選評を参考にしつつもより良い作品にしようと日々努力しています。
■Web小説と文芸小説の違い
せっかくなので普段はあまり語らないことをお話ししようと思います。
今回、初めて商業書籍として校閲を受けて改稿しているわけですが、webで活動してきた私の目から、どのように違うのかをご紹介します。
結論から言うと……別に違いはありません。
意識するべきところは確かにあるかもしれません。
例えば、ラノベ志向であるとか、純文学志向であるとか。
しかしそれはあくまでスタイルの違いであって、Webと文芸の違いとは少し違います。
私も今回の公募に際し、縦書きの紙小説を意識しました。
そしてできるだけ『段落は長く』、『一文を続けて』、『行間を開けず』……と書き上げました。
しかし実際校閲を受けてみてどうでしょうか。
それらは私の杞憂に過ぎなかったことを知りました。
■追求すべきは読みやすさ
文章とは美しいものです。
その美しさの結晶ともいえるのが小説であり、文学であるといえるでしょう。
ですが、自分では美しいと思っていても他人から見ればどうでしょうか。
それが『独り善がり』と『読みやすさへの配慮』の違いです。
やはり読者に読んでもらう文章を心がけることが、『プロ』としての仕事なのだと知りました。
そのため、『文芸小説とはこういうものだ』という固定観念は、それそのものが『独り善がり』であったことの気が付きます。
Web小説は比較的自由です。
その自由さがどこから来ているのかと言えば、門戸の広さでしょう。
「プロ作家のようなすごい文章は書けないけど、自分の考えた物語を書きたい!」
「文書作法なんてよくわからないから、ネット上に趣味で執筆しようい」
など、そういった気軽なマインドからWeb小説は入ることが多いです。
それは実際、私もそうでしたし、今でもそういうきっかけでWeb小説を書き始めるひとは多いのではないでしょうか。
しかし、これがいざ『プロ作家』を目指そうと思うと「このままではいけない」と思いがちです。
結果、さきほどの私のように『固定観念』でガチガチに固められた小説が生まれてしまうのではないでしょうか。
私が救われたのは、やはりそういった自由で気軽な『Web小説』にメインの活動場所をおいていたからではないかと思っています。
どれだけ意識していても、どこかでその軽さがある。
それがまだマシだったのかもしれません。
あえて言いましょう。
『このままでいい』のです。
今も昔も、結局小説の本質とは「面白ければいい」わけであって、Webと文芸の違いとはそれが商品として外に出るか出ないかだけです。
商品化するとき……つまり、自分のWeb小説作品が商業文芸作品になるときは必ず編集の手が入り、校正原稿をもらいます。
『自分の作品』に『第三者(ひと)の手』が入り、商品として磨かれるわけです。
その時に充分改稿をしておけば、商品として恥ずかしくない作品が世に出るのですね。
そういうわけですから、Web小説で活躍しているみなさん。
無理にスタイルを変えようとしないでください。そして、文芸公募にもどんどん応募しましょう。
貴方の書いてるその作品、実はすっごい作品かもしれませんよ?
■受賞の言葉
本日は珍しくホラー・オカルトとはあまり関係のない話をしました。
正直、このブログはホラーブログなのでこのような記事を書くべきではないのではないかと悩みましたが、記念すべきことですし私のブログなので最終的に開き直りました。
さあ、祝ってください。(嘘ですよ)
最後に『小説野生時代 152号』に掲載された私の受賞の言葉全文をここに記載しておきます。
~受賞の言葉~
どうも最東対地です。この度は栄誉ある賞を頂き光栄です。私は「神威遊」という名前でWeb・ケータイ小説畑で活動してきましたが、思うところあり最もこだわりのあるジャンルである【ホラー】のみで勝負しようと、本名と同じ読みの名を名乗りました。そうして今回初めて公募用に書き下ろした『【夜葬】』が読者賞を受賞し、今でも胸がふわふわしているような気分です。
前大賞作の『ぼぎわんが、来る』を拝読し、刺激を受け自分も挑戦したいという欲求の下、執筆を開始したのが十月。そこから構想を練り、仮プロットが出来上がったのが月末でした。そして執筆を開始したのが十一月頭だったので『【夜葬】』は一か月で書き上げたことになります。
時期尚早かとは思いましたが次回の募集まで待ち切れず書き上げた本作は、急いで書き上げたスピード感が良かったのかな……と、いまではおもっています。ありがとうございました。
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