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ケビンアピオス・アビャンケイ / ホラー小説

公開日: : ショート連載, ホラーについて

ケビンアピオス・アビャンケイ

 

 

 

■朝起きて覚えている言葉

 

 

 

ねぇねぇ、ちょっと相談というか……どうしたらいいかわからないから聞きたいんだけど。

 

 

え? 学校? だからそのこともちゃんと話すからちゃんと聞いてってば。

 

 

本当は電話じゃなくて来てほしいんだけど、多分それじゃ間に合わないと思うから……。

 

 

あ、うん。ごめんね、自分でも驚いちゃうくらいに落ち着いてるの。

 

 

それってきっと今起こったことが自分でもちゃんと理解できてないんだと思う。

 

 

あのね、そもそもは今朝なんだけど夜になんかの夢を見たのか、その内容ってのがまた覚えてないんだけどさ、妙に残る言葉があったんだ。

 

 

そうそう、朝起きたら無意識に覚えてて。

 

 

それが全然身に覚えのない言葉で、しかもね? ちゃんと思い出せないんだ。

 

 

その時覚えていたのが「ケビンアピオス……」だったんだけど、そのあとにもう少し続いてて。

 

 

その続きっていうのがどうしても思い出せなくてずっともやもやしてたんだ。

 

 

あんまり気になってついつい朝ごはんも残しちゃって、ママからも「どうしたの?」なんて気にされちゃってさ。

 

 

前の日の夢も覚えてないのに、そのわけのわからない言葉だけ覚えてるっていうわけのわからなさもあって、ずっと頭から離れなかったんだ。

 

 

 

■登校してもなお……

 

 

 

そんな気持ちの悪さを抱えながらも一応学校にはいったんだけど、授業なんて全然頭に入んないわけ。

 

 

ぶつぶつと「ケビンアピオス……ケビンアピオス」って呟いてて、そんなときに先生に当てられちゃったりって、ありがちな展開よね。

 

 

当然答えられなくてみんなに笑われちゃったりさ。

 

 

っていうかそんなことじゃないんだ。

 

 

友達が話しかけたりするのもさ上の空で、私はずっとあの言葉の続きを考え続けてさ……

 

 

え? その言葉?

 

 

いいよ、教えてあげる。この言葉を思い出したときに起こったことの相談なんだから。

 

 

いい? 「ケビンアピオス……」あれ?

 

 

おっかしいな、さっき思い出したところなのにまた忘れちゃった。

 

 

ううん、いいんだ。たぶん話している間に思い出すと思うから、思い出したら言うね。

 

 

とにかく、自分でもわけわかんないくらい気になってさ。

 

 

正直、今でもこれが夢じゃないかな……なんて思ったりもしてるんだけど。

 

 

あ、ごめんごめん。退屈かもしれないけど最後まで聞いて

 

 

お昼になってさ、お弁当を食べるときいつもアキちゃんとかマッピとかといっしょに食べてるんだけど、やっぱり二人とも私の様子がおかしいって心配してくれてさ。

 

 

ただ思い出せない気持ちの悪さにムカムカしているだけだから別にどうってことじゃないんだけど。

 

 

でもみんなに心配させているんだったらそれはダメだなって。

 

 

だからできるだけあの言葉のことは考えないようにしようって思ったんだ。

 

 

でもね5時限目は古文の授業でさー。

 

 

私授業の中で一番古文が苦手で、しかも興味がないのよね。

 

 

しかも古文の高山はやたらキビしいし……あ、古文の先生のことね。

 

 

他の授業だったら寝てても割とスルーされるんだけど、高山は授業中の居眠りは絶対許してくれないんだ。

 

 

だから眠たさと戦いながら授業を受けてたんだけど、授業の内容は頭に入らないし眠いしで、でも眠ったら高山がブチギレるしで。

 

 

結局、私はあの言葉のことを考えることにしたのね。

 

 

 

■思い出せないケビンアピオス……

 

 

 

今日の中で一番……めっちゃ長い一時間だったなぁ。

 

 

高山はあんまり生徒を当てるタイプじゃないからそこにドキドキしなくていいんだけど、その緊張感がないから余計に眠たくなっちゃう。

 

 

ノートに「ケビンアピオス……」って書いて、テキトーにあれこれ後に続く言葉を書いてみたけど全然だめで。

 

 

もうやたらため息はでるし、イライラもマックスだったんだ。

 

 

ノートに書いた変な言葉は増えるし。でもね、その中に核心つくのがあって。

 

 

「ケビンアピオス・ブラキオ」「ケビンアピオス・パミュパミュ」「ケビンアピオス・アバンギャルド」……

 

 

その言葉たちになんの意味もなくって、ただ思いつきで書いてたんだけど、最後に書いた「ケビンアピオス・アバンギャルド」にピーン! と来たんだよね。

 

 

え? ああ違う違う、アバンギャルドじゃないよ。それが近いって話。

 

 

そこで思い出した私はつい授業中に叫んじゃったんだ。

 

 

大きな声で叫んじゃったからみんなが一斉に私に注目しちゃって、内心「しまった」と思ったんだけど、そのすぐあとにとんでもないことになっちゃって。

 

 

そうなんだぁ、それを相談したくて。

 

 

その時に言った言葉……あ! 思い出した!

 

 

そうそう

 

 

「ケビンアピオス・アビャンケイ!」だ!

 

 

教室のみんなは私を見たかと思うと『ぼんっ』て蛇になっちゃったんだ。

 

 

今も教室の床でうねうねしてるんだけど、もしかしてこの言葉のせいだったのかな?

 

 

どうやったら、っていうかどうしたらいい?

 

 

ねぇ、ねぇってば聞いてる?

 

 

……あ、さっき『ぼんっ』て聞こえた気がしたけどもしかして……。

 

 

ご、ごめんね! 電話切るね! じゃあまた……

 

 

わあ、マッピの頭踏んづけて潰しちゃった! ごめんマッピ!

 

 

あ、高山の蛇どれかな……踏んづけちゃおう。

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