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マウス / ホラー小説

公開日: : 最終更新日:2016/05/22 ショート連載, ホラーについて

マウス

 

 

 

 

■今日から小学生

 

 

 

きょう、あさにおきたらおとうさんとおかあさんがいてうれしかった。

 

 

いつもはおかあさんだけしかいなくて、おとうさんはおしごとだからです。

 

 

ぼくはおかあさんがつくるホットケーキがすきだけど、いつもしょくパンなのであさごはんはあんまりすきじゃないです。

 

 

でもきょうはあさからホットケーキをやいてくれてぼくはめちゃくちゃうれしかったです。

 

 

あさはいつもいないおとうさんもいるし、ホットケーキをたべれるし、きょうはいいひだなあっておもいます

 

 

ホットケーキにはちみつをかけているとおかあさんが、「たくさんかけすぎちゃむしばになるよ」っていったので、もっとかけたかったけどむしばがこわいのでやめました。

 

 

はちみつのあまいところがおいしかったけど、あまくないところはぱさぱさしたのでおもったよりたべにくかったです。

 

 

でもぎゅうにゅうといっしょにたべるとたべやすいってわかったのではちみつじゃないところはぎゅうにゅうとたべました

 

 

ホットケーキがはんぶんくらいなくなってからおかあさんが、「そろそろおきがえしないとまにあわないわよ。きょうからしょうがくせいのおにいちゃんなんだから」っていったのでおもいだしました。

 

 

ぼくはきょうからしょうがくせいだったんだ!

 

 

 

■ドキドキの一年生

 

 

 

おとうさんがなんでいるのかぼくはぴーんとしました。

 

 

きょうはぼくのにゅうがくしきなのでおとうさんがいたのです。おかあさんがいつもよりおけしょうしているのもにゅうがくしきのことだったんです。

 

 

そうか、ぼくはおにいちゃんになるからきょうからいっぱいおべんきょうするんだ。

 

 

はじめてきるしょうがっこうのせいふくはカサカサしてこちょばかったけれど、ぼくはわくわくしました。

 

 

おかあさんとおとうさんとてをつないでしょうがっこうまであるいていくと、たーくんとまあやちゃんにあいました。

 

 

ふたりともぼくとおんなじせいふくをきていて、なんだかおもしろかったです。

 

 

おとうさんとおかあさんはいっぱいわらって、いっぱいしゃべりました。

 

 

いつもはこんなにたくさんおしゃべりしないからぼくはうれしかったです。

 

 

きょうはにゅうがくしきだから、しょうがっこうまでのみちでいっぱいおんなじせいふくきたひとたちがあるいてました。

 

 

あるいているとしょうがっこうがみえてきて、とてもおおきいたてものだなあとおもいました。

 

 

ほいくえんもおおきかったけど、ほいくえんよりももっともっとおおきくて、ぼくはかんどうしました。

 

 

そのとき、かいじゅうがあらわれて、はしっているくるまとふみつぶしました。

 

 

くるまはぺしゃんこになっておとうさんとおかあさんは「わー!」ってさけんで、にげました。

 

 

ぼくはおとうさんにだっこされて、かいじゅうはこわかったけどうれしかったです。

 

 

かいじゅうはぼくのまえをあるいていたまあやちゃんとまあやちゃんのおとうさんとおかあさんをたべて、ごくんとのみこみました。

 

 

ぼくはこわくてなきました。

 

 

ぼくのないたこえでかいじゅうがおいかけてきたのです。

 

 

ぼくはいっしょうけんめいたすけてーとさけびました。

 

 

さけべばきっとけいさつのひとがたすけてくれるからです。

 

 

かいじゅうはともだちをたべてどんどんおおきくなりました。

 

 

ぼくはかいじゅうをやっつけるほうほうがないかな、とおもいました。

 

 

いっぱいあるたてものがぜんぶがったいして、ろぼっとになったらかてるんじゃないかっておもいました。

 

 

「がったいしてろぼっとになってかいじゅうやっつけて!」

 

 

ってぼくがさけんだら、たてものががったいしておおきなてになりました。

 

 

 

■大きな手

 

 

 

おおきなては、かいじゅうのくびをつかんでそらにもちあげました。

 

 

そしてかいじゅうをどこかにやってしまった!

 

 

ウルトラマンみたいにかっこいいやつじゃなかったけどぼくはおおきなてにたすけてもらったのです。

 

 

だけどおおきなてはかいじゅうをどこかにやったあと、またもどってきました。

 

 

おおきなてはおかあさんをつかむとおおきなはりでおかあさんをさしました。

 

 

ぼくがなくとつぎはおとうさんをはりでさしました。

 

 

ぼくはいっぱいなきました。

 

 

ずっとずっとなきました。かなしくてかなしくてかなしくてなきました。

 

 

 

■結果

 

 

 

「……ふぅ」

 

 

「うん? どうした」

 

 

「どうしたもこうしたもないよ。気が滅入るんだよな、これ読んでると」

 

 

「ああ……なんだっけ。確か『マウスの思考を言語化する人工知能』の実験だっけ」

 

 

「そう、マウスの思考を人間の言葉にするのにさ、もっとも適した単語をAIが選んでるんだが……なんつーか、逆にそれが趣味悪いっていうか」

 

 

「どれどれ、読ませてみろよ…………うわあ、これ気持ち悪いな」

 

 

「そうだろ? マウスが見えてるものから小学生を連想したんだろう。支離滅裂な展開もそれらを俺たちに置き換えればなんとなくわかる。ほら、この怪獣ってのはマウスが上位生物だって催眠注射した猫をマウスの箱に入れる実験やったろ? その猫のことなんだよ」

 

 

「やっぱり動物の心なんて覗くもんじゃないねぇ、特に実験動物なんて」

 

 

「俺は絶対いやだわ、実験動物なんてさ」

 

 

 

 

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