怪紀行愛知・働く人形たち 南極観測船ふじ

■魔の誘い
どうも最東です。
長男氏(12)が寝転んでスマホばかりいじっているところに、スッと隣に滑り込みました。身体も大きく、もはや子供と呼ぶには憚られる長男氏の耳元で、
「あそぼぉ~、ねえパパンとあそぼうよぉ~~……」
とささやきかけますがチラリともこちらを見ず。(実の父親だぞ俺は!クソッ!クソッッ!!)
「あそびにいこうよ~、ねえ。パパンとあそぶとたのしいよ~~?」
「どこにいくん?」
かかったワ!
すかさず最東は「そうだ、おっきな水族館があるんだっテェ」と牽制を打ち込み、長男氏は「どこに?」と返してきます。大きな獲物が釣れおったワ!
そういうわけで彼を騙して連れてきたのが名古屋港ガーデンふ頭にある『南極観測船ふじ』であります。

「なんだこれ!水族館じゃない!」
「ダマップ!水族館もあるジャマイカ!」
「嘘つき!大人はみんな嘘つきだ、ウワァアア!」
嘘ではありません。名古屋港ガーデンふ頭にはしっかりと名古屋港水族館もあるんだよ。
名古屋港水族館はかなり大きな水族館で、まずは水族館で長男氏を満喫させて脳内エンドルフィンをどくどく出してやり、その後で「ほかにも面白いところあるンダァ~♥」とフィッシングしてやります。
■船!本物の船だよ!
名古屋港ガーデンふ頭でひときわ異彩を放ち、存在感のあるオレンジ色が甘酸っぱい全長100メートルの船。
それが南極観測船ふじなのです。






『南極観測船とはなんぞなもし』という方もおられるかと思います。
最東も特別詳しいわけではないのですが、まあ名前の通り『南極を観測する船だよーん』と受け取って問題ありません。(誤解ある表現)
名古屋港ガーデンふ頭にある『南極観測船ふじ』は1965年から実に18年間も活躍した観測船で、砕氷艦としては日本初となる船でした。
南極観測船というのは南極に設置された基地へ人員や物資の供給と、観測・実験任務のために派遣される船のことをいいます。
先に砕氷艦としては日本初と書きましたが、南極観測船として造られたのもふじが初でした。先代であり初代南極観測船『宗谷』は、特務艦(戦闘艦ではなく後方支援の艦)として造られたものを戦後に南極観測船として再利用した船です。
南極といえば地球の端っこで氷の大陸……いや、陸じゃないのか。とにかく氷の世界です。
遠いわ氷で航行しづらいわで大変なため、南極観測船は船の中に生活に必要な機能が整っているわけです。

■働く人形
ふじは南極観測船としての役目を終えたあと、博物館として再び息を吹き返します。
当然、中も当時のままで中に入ると無駄にテンションが上がります。











しかし、たまにこうやって見学に来るぶんにはいいですが、ここで半年や数年暮らすことを考えると突然息苦しく感じてしまいました。
暗いよ狭いよ怖いよ
船内には食堂をはじめ、バーバーや遊興室、医務室などもあり生活するには別段問題はなさそうでした。
他には乗務員たちの部屋、就寝室などもあって当時の生活が今も息づいている感じがします。
生々しい生活感を演出する立役者がいたるところにいました。
マネキン!
……いや、人形?














なんと呼べばいいのかわかりませんが、船内のいたるところに当時の生活を映すかのごとく等身大の人形がまるで生きているかのようにあちこちにいらっしゃいます。
「怖いようパパーン!」
とぶるぶる震えていることだろうと思いましたが、長男氏は思いのほか平気のようでした。ちっ!
しかし、人形が働いていると言ってもどれもこれも凝っていて、正直見分けがつかないです。基本的に触れられるところにないので、本物の人と間違うことはありませんが佇まいだけだとそれとわかりません。
それにしてもこの船にいるとなんだか『遊星からの物体X』を思い出してしまいますね!
腹が割れて両腕食べられちゃう体験ができそうでwktkしちゃいます。
『遊星からの物体X』は南極基地が舞台でしたが、こちらは観測船。場所は違えどシチュエーションは酷似していて、ふじの乗務員も全員男性です。
(『遊星からの物体X』も野郎しか出てこない硬派なSFホラー映画です)
まさに禁欲の生活。最低でも数か月は船に缶詰にされ、最東だったらおかしくなっちゃうカモ!
甲板にはヘリポートもあり、プリティボーイ長男氏もご満悦。





操舵室は青緑一色に統一されていて、機器等に触ることもできます。船長の椅子にふんぞり返って南極気分を味わうこともできちゃうぞ!






働く人形さんたちのおかげで、航行中の生活を生々しく見学することができました。
確かにあちこちに生きている人間さながらに躍動する人形たちの姿はシュールですが、本物の南極観測船船内と人形たちのおかげで南極への旅路を疑似体験できるのはとても教育にもいいと思います。(結果的に)




実際に訪れてみると前述の名古屋港水族館然り、海洋博物館や名古屋港ポートビル、商業施設やレストラン街、果てはプチ遊園地なんかもあって「なんだここで一日遊べちゃうJAN!」というとてもいい場所でした。
しかし、『南極観測船ふじ』における人形たちの風景は一見の価値あり。
あなたも南極の旅で遊星からの物体と死闘を繰り広げませんか?





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