呪いアプリ 第3夜 / ホラー小説
公開日:
:
最終更新日:2015/02/15
ショート連載
前回【呪いアプリ2】
■呪いの執行まで
私の眠れぬ夜は続いた。
日付が変わる度にピロリン、とかわいらしいジングルでメールがやってくる。
『あと2日だよ』
死んだ友達の顔が浮かぶ。
死ぬのか、死ぬのか、私は……死ぬのか?
そう思うと一睡もできなくなった。
そして、最終日の夜未菜がやってきた。
■呪いの正体
「約束通りきたよ。ほら、カクテルとか買ってきたから一緒に飲もう」
「……ありがと」
未菜は来る途中のコンビニで色々と買ってきてくれた。
お菓子の袋を開けたり、カクテルを開けたりしていると
「寝てない? すっごいクマ」
と笑った。
「ううん。大丈夫」
笑ったつもりだったけど、上手く笑えてなかったのか未菜は心配そうな表情を変えなかった。
「なにがあったも私がいるから大丈夫」
「……うん」
一生懸命私を安心させようとしてくれる未菜の優しさに多少なりとも私の心は救われていた。
「あと30分か……」
未菜の言葉で時間をみると23時30分を回ったところだった。
お酒のおかげで少しは恐怖心がマシになっていた私だったけど、さすがにそう言われると
カウントダウンが始まってしまった気になってしまう。
それからの30分間は途方もなく遠く感じた。
長く長く感じたが、そんな長い時間の中でもしっかりとその時はきた。
「5.4.3.2.1……」
ピロリン
0時きっかりに例のメールが来た。
そんなことよりも私は、自分が生きていることを確かめて心から出てくるような大きなため息を吐いた。
「ほら、やっぱり大丈夫だったじゃん」
「……うん、ごめんね未菜」
「いいよいいよ。友達の家に飲み会に来たつもりだから」
チーズを咥えて未菜は笑ってくれた。
「それより……そのメールの内容は?」
■拡散する呪い
「うん」
私は未菜の言った通りスマホのメールを確認した。
『呪いの期間が終了しました。貴方が呪った人数は0人です。貴方を呪っている人数は134人です』
「え……なにこれ」
さらに私はスクロールして続きを読む。
『呪った人数=貴方が生きていられる年数
呪われている人数=貴方が死ぬまでの時間(人数×分)』
「ちょっと見せて」
未菜が私のスマホの画面を覗き込んでその内容を読んだ。
「ははは、なにこれ。結局どっちにしたって死ぬってこと?」
「……」
「ちょっと、そんな怯えないでよ! 大丈夫だって私がついてるから」
「そ、そうよね」
「あと6日ってのは、誰かを呪うことが出来る期間だってことよね。
ってことはつまり3人呪ったら、3年生きることが出来るってこと?
3人呪って、15人から呪われてたら3年と15分で死ぬって意味よね。
はははー馬鹿くっさー」
未菜は笑って私の肩を叩いた。
「呪わなきゃ呪われるだけだから、呪っとけーみたいな?
気にすることないよ。今日はほら、飲もうよ」
未菜はカクテルの瓶を私に渡し、もっとおしゃべりをしようと誘ってきた。
■134分後……
そして夜は深まり気付けば130分が経っていた。
「ねぇ、未菜……大丈夫よね?」
「ふぇ? なにが?」
酔っているのかとろんとした表情で未菜は私をみた。
「ううん……なんでもない」
「へんなの。……あー、そういえばもうすぐ134分経つねー。今どのくらい経った?」
「今……ちょうどその134分になったとこ」
「ほら、言ったじゃない大丈夫だって」
未菜は笑ってカバンの中身からなにかを取り出した。
「そうよね。……ありがと、未菜」
「ううん、じゃあ、時間だから死んでね」
「え?」
未菜はカバンから包丁を出して私の……
ゴポ……ゴポゴポポ……ゴポッ
<呪いアプリ>
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