カエル地獄 / ホラー小説
■あみはしょうがくよねんせい
あみはしょうがく4ねんせい
しょうがっこうにいくために、いつもあさ10じにでるんだよ。
わたしがしょうがっこうにつくと、みんなはもうじゅぎょうをしているの
せんせいはなにもいわないけれど、やすみじかんになるといつもたくやくんやみさきちゃん、それにかけるくんがわたしにいじわるをするんだ。
そのたんびにわたしはいやなきぶんになる。
きゅうしょくのじかんになると、わたしのきゅうしょくだけいつもないの
みんな、「きゅうしょくひをはらわないからだ」っていうけどそうなのかな
おかねをはらわないとごはんたべれないってままがいってたし、きっとそうなんだね。
■きゅうしょく
いつもいつもせんせいはわたしにきゅうしょくがないのになにもいってくれない
いってくれないということは、やっぱりおかねをはらっていないんだね
かれーのにおいがするよ、おいしそうだな
わたしはのーとにえをかいて、おなかがへるのをがまんしたの。
はやくおわらないかな。きゅうしょくのじかん。
おなかがぐーぐーなっちゃう。
「ほら、たべろよ」
かけるくんがわたしのつくえにかれーがはいったおさらをおいてくれたの
「いいの?」
「いいよ。みんなたべてるしおいしいからたべろよ」
かけるくんがはじめてやさしくしてくれて、わたしはうれしかった。
でも、きゅうしょくひをはらってないわたしがたべてもいいのかな?
ほかのともだちのかおをみたら、みんなにこにこわらって「たべなよ」「たべていーよ」っていってくれる。
わたしはすごくすごくうれしくなって、すぷーんいっぱいにかれーをたべたんだ。
■おいしいかれー
かれーは、わたしがいままでたべてきたなかでこれがいちばんおいしかった。
もぐもぐとかむと、ぶよぶよしたのがぶちぶちとつぶれて、おくちのなかがじゅぷじゅぷになる。
「……あみちゃん、おいしい?」
かけるくんがしんぱいそうなかおでわたしをみてきいてきた。
わたしはすごくおいしいかれーをたべながら
「うん! おいしい! すごくおいしいよ!」
っていったんだ。
「うわああーたべたあああ!」
きょうしつじゅうがおおさわぎになって、みほちゃんやりなちゃんはなきだしちゃった。
「どうしたの? おいしいよ?」
おくちのなかにかれーをいっぱいいれながらしゃべったから、おくちからかれーのおしるがはみだしちゃった。
「ぎゃああー!」
おなかをかかえてわらうかけるくんや、だんしたち。
さけびながらわらったりないたりしているじょしたち。
なんでみんなこんなにさわいでるんだろう??
「あみがかえるをくったあああ!」
あんなにやさしかったかけるくんが、わたしをゆびさしてさけぶ。
かえる? なんのこと?
■あめのひ
おかあさんが、がっこうによばれた。
だけどおかあさんはおしごとがいそがしくってあまりかえってこないから、がっこうにはいかなかった。
みんなは、かれーのひからわたしを「かえる」ってよぶようになった。
かけるくんや、やまとくん、ほかのくらすのだんしまでわたしを「かえる」ってよぶようになった。
おんなのこたちは、わたしとしゃべらなくなったし、むしするようになった。
なんでかなあ?
ほうかごになってあめがざーざーふってきた。
みんなかさをもってきてたり、だれかがもってきてくれたり、だんしのなんにんかはあめにぬれながらはしってかえっていった。
わたしはかさをもってなかった。
がっこうのかしかさものこってない。
でもわたしはたぶん、ぬれてかえるってわかってたからだいじょうぶ。
かれーにかえるをいれるなんて、ひどいことするな。
でもね、でもね、よかったこともあったんだよ。
わたしはあめにざーざーぬれながら、がっこうのかえりにあるかわのよこで、かえるをさがした。
「かえる、おいしかったな」
そういいながらはっぱやじめんをさがしたら、いっぴき、あまがえるをみつけた。
「いただきます」
こんなところ、くらすのだれかにみられたらまたかえるっていわれちゃう。
……でも、いいっか。
わたしはかえるだし。
おくばでかむたび、ぶちゅぶちゅいって、おくちからおしるがでちゃう。
こぼれちゃわないようにおくちをとじてかみながら、わたしはほかにもかえるがいないかさがしたの。
だって、かれーのひからきゅうしょくたべてないもん
おなかがへったからかえるをたべるんだ。
だからね、かえるをたべさせてくれたかけるくんのこと、きらいじゃないんだよ。
かえるがたべれるものだって、おいしいものだっておしえてくれたもんね。
かえるがたべたいかえるがたべたい
あめのひはたくさん、かえるがいるってほんにかいてあったもん。
わたしはがまんできなくなって、かわのなかにはいったの。かわのなかならかえるがいるんじゃないかなっておもったの。
あめでかわのみずがおおかったけど、がんばって6ひきもつかまえたよ。
そのなかの3ひきはいっきにおくちにいれてたべたんだよ。
おいしかったなあ。
わたしはかえるでおなかいっぱいになったんだ。
【2015年8月○○日 民営プール内で6名の男女(子供含む)に噛みつき、怪我をさせたとして逮捕された女性A(47歳)の供述書
スポンサードリンク
関連記事
-
-
3回見たら死ぬ絵 / ズジスワフ・ベクシンスキー
■【閲覧注意】の代名詞  
-
-
【夜葬】 病の章 -51-
-50-はこちら 久方ぶりに見る街の灯りは眩し
-
-
ホラー小説 / ゴミ 1
■投げ込まれるゴミ 「ただいまぁ……」 &nbs
-
-
【連載】めろん。63
めろん。61はこちら ・綾田広志 38歳 刑事⑳ 俺は息を潜め物陰か
-
-
【連載】めろん。109
めろん。108はこちら ・星野檸檬 11歳 小学生④ 蛙子と綾田を待
-
-
栃木県警察官連続拳銃自殺事件 / 怪奇夜話
■不可解な事件
-
-
【夜葬】 病の章 -56-
-55-はこちら 赤ん坊…
-
-
【連載】めろん。42
めろん。41はこちら ・ギロチン 29歳 フリーライター②
-
-
【連載】めろん。14
めろん。13はこちら ・綾田広志 38歳 刑事④ ごきゅっごきゅっ、と喉を鳴
-
-
コトリバコ / 都市伝説の定義とは
■新しい形の怪談 どうも最東です。
スポンサードリンク
- PREV
- ゲームのバグ / ホラー小説
- NEXT
- サンディフックの悪夢 / 26+1