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心霊生配信 / ホラー小説

公開日: : ショート連載, ホラーについて

心霊生配信

 

 

 

■心霊スポット

 

 

 

あ~どうもぉ~! まっちゃんでっす。

 

 

今日はですねぇ、このライブ動画で恒例の心霊スポットをリポートしまっす。

 

 

今回は独りじゃないですよー。

 

 

ハルちゃんさんとミリオリくんの三人でお送りしまーす!

 

 

「どうもーハルでぇす」

 

 

「みなさんばんわーミリオリですー」

 

 

あ、みなさん沢山のコメントありがとうございますー

 

 

あーね、今日も僕がカメラ係兼特攻隊長やりますんで、おばけが出ても平気なようにみなさんのコメントお待ちしてまーす

 

 

初見の方はお茶とか拍手とかね、くれたらありがたいです。

 

 

「なにそれ」

 

 

ああ、ハルちゃんはあんまり知らないんだっけ? そうそう、お茶とか拍手っていうのはアイテムでね、ポイントがたまるのだよ!

 

 

ポイントがたまるとどんどんね、レベルが上がってね、有名になれるんだぞ!

 

 

「説明雑だなー」

 

 

ははは、おっ、視聴者数が100人超えたねぇ。みなさんいらっしゃーい

 

 

「今日はどこにいくんすか?」

 

 

お、ミリオリくん。いい質問だ。今日はね、とある廃旅館にいくんだぞ

 

 

「ええー怖そう」

 

 

大丈夫、ユーレイなんていない! ってことを証明するいわばサイエンス寄りの配信だから!

 

 

「ほら、そんなこと言ってるからコメントから『サイエンスってなんですか』とか来てんじゃん」

 

 

サイエンスとはあれだ、科学のことです。ユーレイも宇宙人も全てプラズマで説明がつくのです。

 

 

「もう途中で笑ってんじゃん」

 

 

ははは、さて見えてきましたよー。

 

 

 

■車から降りて

 

 

 

はい、あれが見えますかみなさん。実にサイエンスな佇まいですねぇ

 

 

え? 使い方が違う? あ、ほんとですかー

 

 

じゃあ早速入っていこうと思います、懐中電灯をね。照らしてずんずん進むんですよ。

 

 

「やだぁ怖い~」

 

 

そうなんです。人間、本能的に暗い、狭い、高いに恐怖を感じるんです。僕なんかは自然災害以外に怖い物なんてないんですよぉ? ね、ミリオリ君

 

 

「そうです」

 

 

それにしても今日は三人で来ていると心強いですよぉ~。

 

 

さすがに元旅館だっただけあって雰囲気でてますねー。ここのフロント跡とかヤバイです。これ領収書? とかもあってね。

 

 

あ、みなさん。僕はカメラとリポートやってるからコメント拾えませんが、よかったならハルちゃんとミリオリくんにどんどん話振っちゃってくださいね。

 

 

彼女いるのー、とか、彼氏いるのーとかでもいいですよ。え、よくない? みなさん、ダメだそうです。ははは

 

 

 

■探索

 

 

 

おおっ、みなさん見てください!

 

 

ここは露天風呂だったっぽいところです! めっちゃくちゃ真っ暗で超怖いですが、明日のサイエンスのために僕は頑張りますよ!

 

 

この剥き出しの岩場がいい感じですね、洗面器とかそのままの状態で転がってますし、どうですか? ハルちゃん、テンション上がってきたんじゃないですか

 

 

「呪う」

 

 

でしょー? 怖いことは怖いけど、そこまでじゃないよね。

 

 

逆にミリオリくんのほうが怖がってたりしてー??

 

 

「呪呪呪」

 

 

はは、冗談だって。そんなにムキにならないでよー!

 

 

それよりも僕の代わりにコメント拾ってよ?

 

 

次は客室に行っちゃおうかな

 

 

 

■宴会場

 

 

 

わあ、広い会場ですね。多分営業してた頃は100人くらいは楽に座れたんじゃないかなー。

 

 

みなさん、見えますか? 暗いから見えづらいとは思いますけど頑張って懐中電灯で照らすんで。

 

 

大丈夫です! 怖いのは僕だけじゃありません。

 

 

ハルちゃんやミリオリくんも怖いんです!

 

 

だから視聴くださってるみなさんも一緒に怖い体験しましょー……って、あ、そうそう。あくまで閲覧は自己責任でお願いしますよー。

 

 

結構ね、見てる人にもなんか起こったりするらしいんですよね

 

 

あ、今どれくらい見てるんですか?

 

 

「怨……怨……怨……」

 

 

ええっ、444人ですか! 最高記録ですね、しかも心霊配信にふさわしい数字っていうか……。よぉし、僕頑張っちゃいますよ

 

 

あ、ここから中庭にいけるみたいですね。行ってみましょう

 

 

 

■祠

 

 

 

中庭も暗いですねー。営業してたときは随分と手入れされてたんですね。

 

 

けど、その名残はあるものの……やっぱり随分荒れてますね。

 

 

あれ、あそこにあるのって祠ですかね?

 

 

うわ、さすがの僕も怖いですよこれは。

 

 

わわ、ハルちゃん泣かないで! みんないるから

 

 

「こっちにおいで」

 

 

そうそう、こっちに来てくださいねー。もっと近くではぐれないように……。

 

 

ここはいい画ですなぁ、神回ですよこれ!

 

 

みなさん、見えますか? この不気味な祠! もうちょっと近くで見てみますね!

 

 

わぁ、怖いなぁ~……ほら、見えます。なんか仏像みたいなのがありまして……それの首が取れちゃってます。

 

 

ミリオリくん、怖気づいちゃってんじゃないですかー?

 

 

「もう帰れないよ」

 

 

ははは、なるほどー。

 

 

あ、実はね。僕はこの二人と会うのは初めてなんですよ。

 

 

急遽参加が決まりまして、ここに来る直前に合流したんですねぇー。

 

 

そろそろ、僕も配信主としてコメント拾いますか。

 

 

えっと、なになに……

 

 

ん、なんですか?

 

 

《誰と話してるんですか?》

 

 

《一人ですよね》

 

 

《誰の声も聴こえません》

 

 

《まっちゃんさん以外の人なんて誰もいません!》

 

 

ええ……? や、やだなぁみなさん何言ってんすか? ちゃんとここにいるじゃないですか、ハルちゃんとミリオリ……くん?

 

 

《ハル:あの、私家でこれみてますけど》

 

 

《ミリオリ:え、っていうか俺もいまバイト終わったところなんだけど》

 

 

 

 

【LIVE配信が終了しました】

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