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隣の心霊スポット / 千日デパートの呪い

公開日: : 最終更新日:2015/07/11 おもうこと, ホラーについて

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■千日前のいわく

 

 

 

1972年5月13日。

 

 

【お母さんに感謝を込めてプレゼントを】という垂れ幕がこの日、なによりも皮肉で悲しみを演出してしまうことになった。

 

 

 118.

 

 

この数字はなんだろうか。煩悩の数よりも10も多いこのなんの整列性もないこの数字。

 

 

ここで記すのも憚れるほど悪夢の蘇るこの数字が表すのは死者の数。

 

 

母の日を祝おうという垂れ幕の内側で叫び、苦しみ、飛び降りた人々や炎に焼かれた人の数である。

 

 

だが、これは同時にこの地に纏わるある忌まわしい数字でもある。

 

 

それもまた死者の数であった。

 

 

さて、そろそろここでそれが何であるのかお話せねばなるまい。

 

 

前者の死者を出したのは千日デパートというデパートビルで起こった火災。この火災で亡くなった死者の数である。

 

 

この数はビル火災での単体死者数で現在も最悪の数字である。

 

 

後者はこの千日デパートにあったとされる罪人の処刑場で刑を執行された人間の数でもある。

 

 

 

■身近な怖い場所②

 

 

 

どうも最東です。

 

 

今日は前回、前々回に続き心霊スポットにまつわるお話をしていきたいと思います。

 

 

戦後の行動経済成長を支えた建造物は、成長に伴い空への高さへと比例していきました。日本が盛り上がれば盛り上がるほどビルは高くなっていったわけです。

 

 

そんな中で安全性は度外視され、経済の成長ばかりが重要視され続けてきたことが浮き彫りになる事故。

 

 

それはそんな現在までに続く教訓が山のように詰め込まれた事故でもあります。

 

 

7階建ての千日デパートの7階はキャバレーとして唯一深夜まで営業していました。まだ改装やオープン工事をしている店舗もあり、まだまだ発展途上だったこの千日デパートの3階、開店工事のため入っていた作業員のタバコの消し忘れが直接の火元でした。

 

 

皮肉なものです。高度成長期に杭を平らな板に打ち付けるように立て続けに建てられた巨大なビルは、たった一本の煙草により未曾有のビル火災を引き起こしたのです。

 

 

この火災で煙から逃れるために窓から飛び降り、隣に面しているアーケードの屋根に凄まじい音を立て何人もの人が落下、激突し死にました。

 

 

当然、アスファルトの堅い地面に墜落した人も大勢いて、次から次へとビルの最上階から飛び降りる光景はまさしく地獄絵図だったと聞きます。

 

 

あれから40年余り経った訳ですが、その後千日デパートはその土地を引き継ぎ、次々と商業ビルとして受け継がれてゆきました。

 

 

ですが、ここで紹介されるほどの火災があったビルです。それだけでは終わりません。

 

 

 

■心霊スポットとして宿命づけられた地名の由来

 

 

 

話は戻りますが、千日デパートビル火災よりも数百年前。

 

 

この地は処刑場だったそうです。

 

よくこんな話は怪談や心霊スポットにまつわるお話で語られることですが、千日デパートの土地の場合、間違いなく真実であったと史実が語っています。

 

 

沢山の罪人がその罪を償うために刑を執行されました。

 

 

憶測でしかありませんが、冤罪の罪人もいたことでしょう。

 

 

兎角この地で多くの命が散ったという事実は動かしようのないものだったのです。

 

 

そこで処刑された罪人の数がさきほども書いた通り、【118人】

 

 

そして、千日デパートビル火災で出た死者が118人。

 

 

これは偶然でしょうか?

 

 

それにしては出来過ぎなような気がしますね。

 

 

もちろん、この情報が真実であれば……という前提でですが。

 

さて、大阪では誰もが知るこの【千日前】という由来はこの処刑場であった時代からその源流が来ています。

 

 

諸説はありますが、ここで一つの説を紹介しましょう。

 

 

罪人はこの処刑地に刑が執行される【千日前】にこの地に移送されるそうです。

 

 

それ故に【千日前】

 

つまり人が死ぬことが前提の地であり、それ自体を地名に焼き付けられた……呪いの地といってもいいでしょう。(この説が事実ならば)

 

 

他の説では処刑された罪人を供養させる為に、お坊さんが唱える念仏が【千日念仏】といい、その念仏が唱え終わる【千日前】にこの地に赴くことから来ている……というものもあります。

 

 

どちらにせよ、処刑場ありきでの由来のようです。

 

 

この118人の処刑人を出した処刑場が、その数百年後に同じ数の事故死者を出した……。

 

 

やはり土地に根付いた夥しい数の怨恨が今を生きる人間を死に引きずり込もうとしているのでしょうか。

■千日デパートの今

 

 

 

さて、40年ほど前とは言え2014年を生きる我々として1972年は過去の出来事です。

 

 

処刑場時代は更にそれよりも昔の出来事です。

 

 

なのでいくら怖い話、気味の悪い話といえども他人事ですよね。

 

 

では、現在の千日デパートはどうなっているのでしょうか。

 

 

千日デパートは火災の後、しばらくは買い手がつかず長年放置されていましたが、その後プランタンなんばとして再び商業ビルとして復活します。

 

 

火災を知らない若者たちは、こぞってこの大きな商業施設の誕生を喜び通い詰めました。

 

 

しかし、このプランタンなんば。営業的には順調とはいい難い状況で、市内の一等地に鎮座する巨大施設にも関わらず契約テナントの出はいりが激しく、開店しては閉店を繰り返し、店内は閉店したままシャッターが下りたテナントなどもあり歯抜けになったテナントがしばらく目立っていたそうです。

 

 

ほどなくしてそんな好立地だったはずのプランタンなんばは撤退し、再びその目立つ場所は主のない廃墟と化してしまいました。

 

 

そして今現在、その場所はようやく買い手がつき、新しい名所として盛り上がっています。

 

 

当初心配されていた営業ですが、ネームバリューの巨大さからか、撤退や閉店などの話は飛び交うことなく現在も無事営業しています。

 

 

ですが、不思議なことが一つ……。

 

 

千日デパート跡に構えた大手家電量販店メーカー。都内には何件も店舗を構え、地方にも店舗を持つ大きな会社なのですが、大阪に初出店ということで注目されて10年以上たちますが……千日前店以外の大阪での出店はありません。

 

 

あれだけ大きな企業なのに、大阪での出店がこの一店だけとはなにか不自然なものを感じてしまいます。

 

 

■そして生まれた関西最大級の心霊スポット

 

プランタンなんば時代、このような噂がある一角で囁かれ始めました。

 

 

あそこの店は妙に焦げた匂いがする。

 

 

焼けた人が走っている。

 

 

隣のアーケードを歩いているとなにかが落ちてくる音で驚く

 

 

など。

 

 

プランタンなんばの直接な撤退理由にはならないとは思いますが、そんな妙な噂が飛び交いその噂が広まるのとは反比例してテナントの数が減っていったそうです。

 

 

現在絶賛営業してる家電量販店でも同様の噂が囁かれ、霊感がある人などは玄関から一歩たりとも入れないといいます。

 

 

噂の内容は、焦げた匂いの他

 

 

妙に時代の古い服を着ている人が歩いている。エレベーターに乗ると押していないのに7階で止まる。ビデオカメラ売り場でサンプル展示しているカメラに半透明の客が映っている。歩いていると熱い熱いと声が聞こえる。電話売り場の電話機に妙な留守番電話が録音されている。従業員にはお守りが配布される。閉店後の暗い店内に沢山の人が犇めいている。……など。

 

 

死者の数と、出現する霊の数から有識者からは文句なしで【関西最強の巨大心霊スポット】だといわています。

 

 

なんと奇妙で、恐ろしいことでしょうか。

 

 

こんなにも身近で暗くもない、現在も人が行き来するなんでもない場所が最強の心霊スポットだとはなんとも血の気が引く話です。

 

 

■タクシー運転手の掟

 

 

さて、最後にこの千日デパート跡に纏わる都市伝説が最も根強く知れ渡っているのがタクシー業界だそうです。

 

 

千日デパート跡界隈でタクシーを拾おうとすると中々捕まらない現象が近年まで大阪人の中では有名な話でした。(現在は不明ですが)

 

 

その中でも特に女性がタクシーを捕まえようとしてもとにかく止まってくれないそうです。

 

 

ある新人運転手が、千日前で女性を乗せた時のこんなお話があります。

 

 

沢山のホステスが行き交う中で、タクシーが客待ちをほとんどしておらず新人運転手はそれを見て興奮しました。

 

 

「こんなところに穴場が」と。

 

 

普通に考えればこんな繁華街のど真ん中でタクシーが客待ちをしていないなどとは考えにくい話しですが、とにかく彼の目には客待ちをしているタクシーなどおらず、それどころか手を上げてタクシーを探しているホステスらしきドレスアップした女性がちらほらと見えるではありませんか。

 

 

逸る気持ちを抑えつつも、ある女性客を乗せると行先を聞きその場所へと向かいました。

 

 

「なんてラッキーなんだ。仕事を始めて早々にこんな場所にありつけるなんて!」

 

 

彼の興奮とは余所に静かな後部座席。目的地に近づくにつれ気になった彼は信号待ちの拍子に後ろを振り返りました。

 

 

 ……確かに乗っていたはずの女性はどこにもいなかったのです。

 

 

そう、タクシー運転手の中では「あの場所では幽霊を乗せてしまう」と有名だったのです。それ以来、新人運転手の彼は千日前で客を乗せることは辞めたそうです。

 

 

この記事を読んでらっしゃる方には関西近くではなくピンと来ない方も多いと思います。

 

 

ですがどうでしょう。

 

 

今回はたまたま大阪でのお話をしましたが、あなたの地域にもあるのではないでしょうか?

 

 

身近な……呪われた土地が。

 

 

特に妙な地名などは凄惨な過去が隠されていることもざらにあると聞きます。

 

 

どうにもこうにも恐ろしいですね……

 

 

ですが、本当に恐ろしいのはどちらでしょうか。人を殺さない幽霊か、人を殺す生きた人か。この現代では更にその境界線が曖昧になっている気がします。

 

 

さて、私もこれから買い物に出も出かけましょうか、ね。

 

タワーリング・インフェルノ [DVD]煙に斃れた118人―千日デパートビル大惨事から30年 (近代消防ブックレット)

 

おすすめ記事→ 逆拍手・洋子のはなしは信じるな

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