【怪奇行・滋賀県】風車が回る水子地蔵 玉桂寺
■たぬきの里を越えて
DO-MO.最東です。
夥しい数のたぬきに見送られて次の目的地へと向かいます。グッバイたぬたぬ、君たちのことは忘れないよ。(うどんおいしかった)
そういえば滋賀県といえば、道路脇にある飛び出し坊やの発祥の地です。
なので車で走っているとほかのどの地域よりも頻繁に飛び出し坊やを目撃します。それはもう頻繁に。
こればっかりは実際に滋賀を走ってみないとわからないと思いますが、とにかく出会う出会う。つまりなにがいいたいかというと、信楽の飛び出し坊やもたぬきだということです。
前回に引き続きくりかえしますが、信楽はとにかくどこいっても必ずたぬきがいるのでぜひ足を運んでみてください。一生分のたぬきに会えますよ!(でも本物のたぬきには滅多に出会えない)
途中でなぞのモニュメントを見つけ、ちょっと足を止めつつ最東は次なる目的地、玉桂寺(ぎょくけいじ)へと向かいました。
■静かに佇む水子地蔵の寺
滋賀県といえばどんなイメージを持っているでしょうか。やはり一にも二にも琵琶湖。
あとは彦根城とひこにゃん? 鮒ずしも有名です。前出ですが飛び出し坊やもここのところ有名ですね。
あとは近江牛とか信楽焼、甲賀の忍者もいらっしゃいます。ニンニン
こうして列挙してみると意外とたくさんあるものですが、比叡山を代表する山々の景色もまた見ものです。
京都の隣県ということもあって由緒ある神社仏閣も多く存在します。滋賀の神社仏閣はまた味があっていいんですよね。
さて、最東が訪れたのはそんな滋賀のお寺である『玉桂寺』です。
愛車のプリプリくんで訪れたのですが、ここへ行くまでの道幅が狭く車一台通るのがやっとで肝と冷やしながら第二駐車場へ停めました。
もうすこし進めばお寺からさらに近い第一駐車場があることはわかっていましたが、対向車が来た時のことを思って日和っちゃいました☆てへ☆
しかしあとあとこれでよかった思うのですが、それは後半に書くとして『駐車場』と書いていなければ駐車場だとわからないほど草木がぼーぼーに伸びた砂利の駐車場にプリプリくんを停め、玉桂寺へと歩いていきます。
川を挟んでお出迎えしてくれる小さなお地蔵さまがとてもかわいい。(ほっこり)
境内に入るとチョロチョロと水が落ちる音と、時折吹くそよ風にゆれる木々の音だけがしていました。
入ったらすぐに一面どーん!と水子地蔵があるのかと想像していましたがそんなことはなく、手水鉢と石灯篭が正面に静かに鎮座していました。
すこし進むと左手に赤い風車が静かに周るお地蔵様とそのうしろにずらりと並ぶ水子地蔵が。
大きい地蔵様が小さな地蔵様を引き連れていて、まるで幼稚園児と引率の先生のようでほほえましくも見えます。
さらに奥へ進むと、今見た水子地蔵たちよりももっと多い水子地蔵が。
こちらは日当たりもよく、景色もいい。心なしかどの地蔵様も穏やかな顔で、心地よさそうです。
■Mさん登場
パシャリパシャリと写真を撮っていると、ひとりのおじいさんがお参りにやってきました。
ちょうどこちらにやってきたので軽く会釈をすると、無言で最東を見てぷいっ、と社殿へと曲がってしまいました。
よそものだとわかって気分を害したのかな、と思いかけたところにおじいさんが無言で手招き。
呼ばれているのか? と曖昧でしたがもし違えば謝ればいいか、とついていくことに。
するととある社殿の前でおじいさんはこちらを向きました。
正面から見たおじいさんはしかめっ面で怒られるのかな、と一瞬身構えました。
「ほれ」
最東のビビりをよそにおじいさんは手に持った玉桂寺のパンフレットを渡し、ここのご利益などを教えてくれました。(ボケ封じで有名らしい)
おじいさんの話に相槌を打っていると気をよくしたのか、「ついてきい」と境内を案内してくれることに。もしや関係者の方なのかな、と思いつつついていくと色々と教えてくれました。
「毎月21日はお焚きあげがあってな、今はコロナでやっとらんけどあそこの社務所で婦人会のおばちゃん連中がうどんを振る舞うんや」
「へえ~」
「ここの檀家はな、大西とか福田の姓が多いんやで。わしはMっちゅうんやけど、ほれここの紋見てみい。これはうちの家紋でな、兄ちゃん九曜って知ってるか」
その他、NHKの連続ドラマ『スカーレット』のロケにも使われたということや松尾芭蕉の墓がある(諸説あり)こと、玉桂寺で祀られている大きな松日本は文化遺産? に指定されていて、境内に生える松はみんなこの二本から広がっていったという話、どこからか出てきた仏像の腹から昔の檀家の名簿が出てきたことなど、たくさん語ってくれました。
「兄ちゃん、どこに車停めたんや」
「第二駐車場です」
「なんや、だから第一駐車場に停まってなかったんか」
「というと?」
訊けば第一駐車場がどこかわからない参拝客が多いらしく、多くが最東と同じく第二駐車場に停めるらしい。
Mさんはそう言っているがたぶん、みんな最東と同じ理由だろう。これ以上車で進むのに不安があるから第二で手を打っているのだ。
「第二駐車場の奥に大きな家あったやろ。あそこは前は入浴場があったんやで」
と耳寄りな情報も。そしてその先には吊り橋があり、まさにそこでスカーレットの撮影があたそうな。
Mさんの話は止まらない。聞いているこっちも楽しかったので別に苦ではなかったが、みるみる空が橙色になっていく。
「昔ここで働いていた女性がな、この上流に水を汲みに行ったときに誤って転落して死んだんや。だからあそこから先に行ったらあかんで」
などと怖い話もさらっと。
非常に貴重な話を聞かせてもらったわけですが、最東が一番印象に残っている話といえば、毎月21日に行われるお焚きあげのうどん、地元のうどん屋に頼んでいたのを町長が変わり経費削減の名目で業務スーパーのうどんに変えたことをえらく怒っていたことです。
曰く、「あんなうどんじゃあかん。地元のもんと協力し合ってやっていかなあかんのに安いからいうて業務スーパーはあかんわ」とのこと。
わかりますわかります。実際そうですよね。
経費削減はわかるけどうどんを業務スーパーにしたからって大した削減にはならんでしょうに。
などと他愛のない話をしながらMさんと別れを告げたのでした。
滋賀兵主大社・土倉鉱山跡へ
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