ドラえもんも驚くぶっ飛びホラー / 武器人間
■奇作、生まれる
どうも最東です。
寝苦しい夜にはやっぱりホラーですね。
『出し抜けになんだテメェ』とお想いになる方も多いと思いますが、まあ落ち着いてください。
ホラー映画は、多用に渡るジャンルや題材、シチュエーションが出尽くしている感があり、一番安易でいて、安定しているゾンビスリラーが市場の主流となりつつあります。
そんな中、一つのぶっ飛んだホラー映画が公開されたのをご存知でしょうか。
■最終兵器、出撃ぃ~!
この映画、私は映画館ではなくレンタル動画で鑑賞したので実感したものではないのですが、そもそもプロモーションがおかしいです。
超グロアクションホラーなのに、やたらとコミカルにグッズが売られたり、おどろおどろしい武器人間たちがマスコット的ななにかになったり(デフォルメはされていない)、極めつけはこの日本版トレイラー。
30代以上にはおなじみの旧ドラえもんの声優である大山のぶ代氏がナレーションを担当したこのトレイラーは、色々な意味で私達にインパクトを与えました。
特に、最後に言い放つ「最終兵器、出撃ぃ~!」というよく知ったそれは、恐怖とは違うなにかやんわりとした部分を串で突かれるような、妙な感覚を覚えるのです。
■ぶっ飛びナチスワールド
世間では『ムカデ人間』がフューチャーされ、その理解できないぶっ飛んだ設定に背筋を寒くしたり、腹を抱えたりと、様々なリアクションがありました。
私もムカデ人間は観ましたが、観点は面白いけれどマッドサイエンティスト具合はヴィクター博士に比べるとまだまだです。
え、ヴィクター博士が誰だかわからない?
そんな勉強不足の貴方には特別教えましょう。
この『武器人間』に出てくる【武器人間】は全てこのフランケンシュタインの孫、《ヴィクター・フランケンシュタイン博士》が作ったのです。
映画の中身はというと、ナチスドイツと旧ソ蓮が激闘を繰り広げている第二次大戦の最中、部隊は東部戦線。
ここで消息を絶った隊の消息を調べるために派遣されたソ連軍の偵察隊は、古びた教会でおぞましい虐殺の痕跡を発見します。
と、そこにわけのわからないフォルムの人間なのかバケモノなのか判断の付かない『武器人間』が現れ戦闘に発展。
逃げ惑う偵察隊員に次々と襲い掛かる武器人間は実にバリエーションに富んでいます。
ドリルと人間を合体させたモスキート。
プロペラと人間を合体させたプロペラヘッド。
ハンマーと人間を合体させたハンマーヘッド。
このほかにも常軌を逸した武器人間がわんさかと現れ、わんさかと兵士を惨殺していきます。
■改造人間の価値観が変わる
さて、改造人間といえば、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。
日本人ならば大半の人が『仮面ライダー』というのではないでしょうか?
ですが、この『武器人間』に登場する改造人間はそんな生ぬるいものではないです。
もう一度言います。
そんな生ぬるいものではないです。
まず、改造手術が乱暴です。とても手術と呼べるあれではない感じで人体を改造していく様が、特にオブラートに包むわけでもなく思い切り見せつけられます。
しかも、手術の被験者は武器人間に捉えられた&殺された人間。
生きたまま武器と融合される描写は、驚きのグロさです。
ですが、この映画の真の恐ろしさはこの手術や武器人間に非ず。
これを施した人間にあるのです。
それが、フランケンシュタインの孫、ヴィクター・フランケンシュタイン博士なのです!(二回目)
■もっと造るぞー!
最東が最も印象的でインパクトのあった台詞はこの台詞ではないでしょうか。
ヴィクター博士が、武器人間を造る手術をしながら興奮気味に「もっと造るぞー!」とやる気満々に叫ぶのです。
その後ろでは脳に直接電流を流されている兵士がびくんびくんと大きく体を痙攣させています。
ヴィクター博士は完全に人体を物扱いしていて、扱い自体がものすごく雑。
ばらばらになった兵士をなんか廃棄箱に無造作に投げ入れたりし、第二次大戦最中なのでお世辞にも綺麗と言えない器具でガリガリバリバリと人体を切断、そして色々な兵器や武器、日常品を乱暴につけていくのです。
そこでホラー映画界を揺るがすほどのキャラ、『武器人間』が誕生しました!
そもそも、生物と無機物を融合させること自体無理があると、普通の人ならだれでもわかるようなことを、専門家が大真面目にそれを行い成功させるという……。
頭がプロペラの人間なんて、漫画やゲームなどでデフォルメされたキャラなどではたまに見ることはありますが、実際にそんなことをするとこんなにも生理的にも嫌悪感を催す者になるのだと、私はよくわかりました。
■POV方式は是か非か?
さて、この映画、ソ連軍の偵察部隊が遺したフィルム……という設定でして、それもありPOV方式を採用しています。
ですが、この映画に関してはこの政策は失敗だったように思います。
と、いうのも主観映像となるためストーリーを追いにくく、その上状況が理解するのが困難でもあります。
臨場感……という点ではいいのかも知れませんが、武器人間が出てきた時には一兵士として戦ったり逃げながら映像が変わっていくので、折角の武器人間がよくわからないという弊害も見受けられました。
そして、フィルムが古いというところまでなぜかこだわっているようで、映像そのものが靄がかかったような感じになっていて、素晴らしい題材と作品なのにこの方式を取り入れたがばっかりに、全体が妙にぼやけた出来になってしまいました。とても残念です。
ですが、それを差し引いてもちょっとやそっとのホラーに飽きているホラー好きにはおすすめの映画となっています。
百聞は一見に如かず、ひとまず一度ご覧になられることを勧めます……。
公式HP※音出ます
http://bukiningen.com/
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