意味の分かると怖い話
■沸き立つ第三の怪談
どうも最東です。
突然ですが、みなさんは怪談好きですか?
都市伝説はどうでしょう?
ではホラー映画は? ホラー小説もありますよ。
当ブログではその全てを扱っております。
ですが、あまりスポットをあててこなかったこのジャンルを今回はご紹介しましょう。
よく見るものですが、このタイプの怪談はネットの普及によって爆発的に広まったといっていいでしょう。
どこかの記事でも書いたかと思いますが、2000年以降、【ホラー慣れ】がユーザーに著しく浸透し、世間に氾濫している怪談や都市伝説ではなかなか恐怖感を得られない人たちが多くなりました。
そこでどこからともなく現れたのがこの【意味の分かると怖い話】。
話の内容自体はなんのことはない、普通の怖くもない……いえ、怖いことは怖いかもしれませんが、それほどインパクトのあるお話ではありません。
ですが、その短いお話の中に隠された意味を知った時、理解したという爽快感と知ってしまった恐怖感が混ぜあい、何とも言えない新しい恐怖を得ることが出来るのです。
■バリエーション豊富な意味知る話
さて、あれこれ言うよりも実際にご紹介いたしましょう。
折角なのでみなさんも隠された意味を考えてみてくださいね。
●一人になってはいけない●
とある青年が、恋人と同棲していた。
何気ない日常のある夜の事、彼が部屋でくつろいでいるとテーブルに置いたスマホが鳴った。
キッチンで料理をしている彼女は手を離せないようだったので、彼はスマホを取った。
取ったスマホは、着信ではなくメッセージ通知だったのだという。
『一人になってはいけない』
メッセージはそれだけだった。しかも、どういうわけか相手が誰なのかもわからない。
元々そういった怖い系が苦手な彼は、そんななんでもないことにやけに怯えてしまい、できるだけ一人にならないように努めようと決めたのだった。
「ちょっとマヨネーズ買ってくるね」
キッチンで料理をしていた恋人がそう言ってさっさと出ていってしまう。
「あ……!」
一人にならないように気を付けようと思った矢先に恋人が出て言ってしまい、追いかけようか迷った彼は不安に怯えながらも玄関の内鍵を閉めて彼女を待つことにした。
「大丈夫、家の中なら大丈夫……」
それから3時間が経った。
青年の身にはなにも起こっていない。
――やっぱり誰かのイタズラかぁ……。よかった。
そう思い、青年はひとり眠りにつくのだった。
~完~
■解答
お分かりになられましたでしょうか?
話だけ聞くとなんてことのないお話ですよね。
流し読みをするとなにも考えずにすぎてしまうようなお話です。
では、このお話の解答に参りましょう。
まず、最初に鳴ったスマホですが、これは彼のスマホではなく彼女のスマホです。
よく読むと、彼女が手を離せなかったので手に取った、とあります。
つまり、料理で手の離せなかった彼女の代わりにスマホを見てあげたということになるのですね。
『一人になってはいけない』とは、彼にではなく彼女に届いたメッセージなのです。
気味の悪さから青年はこの時点で自分の事だと誤解してしまいましたが、本当にひとりになってはいけなかったのは彼女のほうなのです。
3時間が経ち、確かに彼の身にはなにも起こりませんでしたが、『3時間、マヨネーズを買いに行った彼女が戻らない』ことがなによりの証拠ではないでしょうか。
●トイレのメッセージ●
浮気をして彼女にバレてしまった隆。
恋人の真美は、ショックで怒り狂い浮気が発覚した夜に隆を住んでいたマンションから追い出してしまう。
それから一週間、隆は友人の家を転々としながらどうやって真美に許してもらえるかを考えていた。
色々な友人からの勧めもあり、隆は謝って許してもらうために真美に会うことを決意する。
「……入って」
同棲していたマンションのドアをノックすると、思い詰めたような青白い顔で真美が出迎えてくれた。
相当思い悩んでいたようだ。
しばらく、二人の中で沈黙が走り、会話も進まない。
「ちょっとトイレ……」
いたたまれなくなった隆は気分転換にトイレで考えを整理することにした。
トイレの便座に座ると、トイレットペーパーになにか書かれているが見えた。
「なんだ……?」
隆がトイレットペーパーを引いてみると、『真美より』と書かれてあった。
続けて引いてゆくと、隆に宛てた文が現れてゆく。
真美より
あなたは私を裏切った それは事実
でももうすべてリセットしていいと思うの
あなたと過ごした宝物のような日々
それが私にとって大切だと気づいたから
なにもかもぶち壊してしまうこと
許されないことだもんね
あなたが浮気していたことは
全部忘れてしまえるわ あの娘と
あなたとの関係もこれで帳消しってこと
にしてあげるお互いつらかったよね 私と
あなたは 十分に苦しんだからこれから楽
しんじゃおうよ 一緒にね
隆へ
隆はこの手紙を読んで、自分が如何に愚かなことをしてしまったのかを思い知った。
こんなにも自分を思ってくれている真美を裏切ってしまった自分を責めたのだ。
「よぉし、これからは絶対に浮気なんてせず、真美だけを愛してゆこう」
そう決めた隆は、トイレの外で待っているだろう真美を抱きしめてやろうと心に決めた。
■解答
このお話はなかなかインパクトがあります。
冒頭でもご紹介したとおり、これらの話はネットで拡散された新しい怪談です。
その中でもこのお話はそれが顕著ではないでしょうか。
というのも、このお話は【耳で聞いてもわからない】からです。
実際に当記事のように「文字で読まなければわからないギミック」が仕込んであるといっていいでしょう。
さてさて、前置きが過ぎましたが解答に移りたいと思います。
このお話の恐ろしいところは、隆の勘違いにあります。
彼はこの手紙を読んで、前向きにとらえてしまいましたが。
そして、愛を持って真美に接しようと決めます。
ですが、隆が読んだ手紙は読む方向が逆だったのです。
正しい読み順は下記の通り。
隆へ
しんじゃおうよ 一緒にね
あなたは 十分に苦しんだからこれから楽
にしてあげるお互いつらかったよね 私と
あなたとの関係もこれで帳消しってこと
全部忘れてしまえるわ あの娘と
あなたが浮気していたことは
許されないことだもんね
なにもかもぶち壊してしまうこと
それが私にとって大切だと気づいたから
あなたと過ごした宝物のような日々
でももうすべてリセットしていいと思うの
あなたは私を裏切った それは事実
真美より
……お分りでしょうか。
真美が隆に宛てた手紙は、「浮気のことはリセットしてあげるからこれからまた頑張ろう」という内容ではなく、「裏切ったことは許せない。二人とも苦しんだから一緒に死んで楽になろう」という無理心中をほのめかす内容だったのです。
隆がトイレを出た後、お互いの気持ちが決定的に違う二人はどうなってしまったのでしょうか……。
■意味の分かると怖い話
そういうわけで、恐ろしいことというのは本当に多岐に渡るといえます。
使い古された恐怖もリブートされ、そして常にゼロから新しいなにかが生まれてゆく。
恐怖の感情は面白いですよね。
面白いから怖いのでしょうか。
意味の分かると怖い話……またご紹介しましょう。
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