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【怪奇夜話】ヴォイニッチ手稿 最終章 / 解読不能の手記

公開日: : 最終更新日:2014/02/04 おもうこと, ホラーについて

ヴォイニッチ最終章

◆ヴォイニッチ手稿 最終章

 

 

 

 どうも最東です。

 

 

 ヴォイニッチ手稿シリーズもこれで最後です。

 

 

 実際のヴォイニッチ手稿=時空のおっさんシリーズは、まだまだありますがその中でも厳選したエピソードをお贈りします。

 

 

 怖い……というものとは少し違いますが、この不思議なお話にもうしばらくお付き合いください。

 

 

 

◆記憶が2つある男

 

 

 

 某巨大掲示板ですが、その巨大さゆえにあらゆる情報が集まります。

 

 

 信憑性の低いものから、全くのデマカセまで多種多様のクオリティの記事(スレッド)毎日数十から数百立ち上がり、

 

 

 その中でどれほどの頻度かは分かりませんが、おそらく低い頻度で本物の情報も交じっています。

 

 

 もちろん、それは色々なカテゴリーに分けられます。

 

 

 ここで紹介している記事は、当然ですがオカルト・ホラーのカテゴリとなります。

 

 

 ネットが普及したことにより、“体験した当事者”本人が直接情報を発信することが出来るようになり、

 

 

 ユーザーはより簡単に恐怖の情報を手にすることが出来る反面、

 

 

 気軽に触れてはいけないものに触れてしまうのです。

 

 

 さて、前置きが長くなりましたが、その掲示板に

 

 

 『記憶が2つあるんだが』

 

 

 というスレッドが立ちます。

 

 

 

◆身に覚えのない記憶

 

 

 

 スレ主は語り始めます。

 

 

 彼は、小学校4年生の夏から19歳の秋までの記憶が何故か二つあるそうです。

 

 

 それ自体は特段注目されるような記事ではなく、

 

 

 住民からは「フラッシュバック予知夢ではないか」

 

 

 「パラレルワールドの幻想だ」と、

 

 

 半信半疑で彼が続きを語るのを待ちました。

 

 

 彼はまず、学校に行っていた記憶から話し始めました。

 

 

 普通の小学校に通い、県内で有名な高校に入学し、そして凡庸な大学に通っています。

 

 

 ごく普通に友人もおり、ごく普通に恋愛もし、特別幸せでも不幸せでもない生活。

 

 

 そして、それは今現在の自分と直接つながっている記憶だと彼は言いました。

 

 

 問題はもう一つの記憶です。

 

 

 小学4年生の夏休み、家族で川へ遊びに行った際、彼は足を滑らせて川に流されてしまいました。

 

 

 溺れそうになっているところを裸の中年男性に救われたそうです。

 

 

 一命を取りとめたが、周りは緑林が茂る森で、家族の姿も見当たらず不安のあまり泣いてしまいました。

 

 

 

◆連れていかれた世界

 

 

 

 泣きじゃくる彼に優しくしてくれたその中年男性は、彼の手を取ると森の中へと彼を連れて行きます。

 

 

 唐突に現れたのは、森の木々の中のじゅうたんと椅子。

 

 

 ベッドのような寝具があるかと思えば、置物のようなものまであった。

 

 

 中年男性は、言葉通じず、話す言葉もどこの言葉かもわかりません。

 

 

 その森の部屋には、裸の中年女性、そして裸の赤ん坊がいたそうです。

 

 

 男性は葉っぱを紙に見立てて、木の幹で絵を描いてくれました。

 

 

 それが嬉しくてよく覚えている、……彼はそう語りました。

 

 

 そうして、彼はそこで何年も過ごすこととなりました。

 

 

 次第にそこでの言葉も覚え、読み書きが出来るようになり、会話が出来るようになったのです。

 

 

 

◆彼が書いた言葉

 

 

 

 そんなある日、あるキッカケが元で彼はその世界の中で死んでしまいます。

 

 

 そして、翌日目が覚めると、この二つの記憶を一つの身体に共有している……不思議な感覚でした。

 

 

 そんな自分の2つの記憶が気持ち悪く、スレッドを立てて同じような経験をした人間がいないかを知りたかったのだという。

 

 

 だがスレットを立ち上げたのにはもう一つ理由がありました。

 

 

 あちらの世界で死んでから、急激に覚えたあちらの世界の言葉を忘れてきているというのです。

 

 

 「覚えている内になんか書いてくれ」

 

 

 スレッドの住民からのリクエストがあり、彼はあちらの言葉で「こんにちは」と書いてアップしました。

 

 

 (その時の画像がこちら)

 

 

 

◆この文字どこかで見たことがある

 

 

 

 「この文字、どっかで見たことあるぞ」

 

 

 スレッドの住民の一人がそう言い始めました。

 

 

 一人二人と「なんか知ってる」という声。

 

 

 そして、ついに一人が高らかに言いました。

 

 

「これ、ヴォイニッチ手稿に書いてる文字だ」

 

 

 スレッド内は騒然としました。

 

 

 

◆書けるということは……

 

 

 

 彼は、ヴォイニッチ手稿の存在を知らなかったらしく、アップされた画像に興味津々の様子でした。

 

 

 そして、「確かにこれは僕の知る文字だ」と言います。

 

 

 みなさん、これまでの記事でご存じのとおり、ヴォイニッチ手稿は誰一人として解読できなかった手記です。

 

 

 それを知る住民たちは彼に対し興奮気味で尋ねました。

 

 

「ヴォイニッチ手稿が読めるのか!?」

 

 

 彼は答えました。

 

 

「読めない部分がいっぱいあるけど、大体は読める」と。

 

 

 例えばこのページ

 

 

 ・この本を書いたのは子供

 ・あちらの世界の人間が書いたことは間違いない

 ・これらのヴァルナ(草)達にはレウス(根っこ)の数に比例した……があった。レウスが太いほど強い訳ではなく、これらを知ることで……であり……。

 

 ※作中「……」は彼の読めない箇所である。

 

 

 誰も読むことの出来なかったヴォイニッチ手稿を日本のインターネット上掲示板で不完全とはいえ読んで見せたのです。

 

 

 

◆全て解読

 

 

 

 ヴォイニッチ手稿に興味を惹かれた彼は、独自にそれを調べることにします。

 

 

 そして、満を持してこう発言します。

 

 

「ヴォイニッチ手稿を調べてたら分かった。全部分かった。

 

 

 話が聞きたいという人もいるだろうが、すまない。

 

 

 知らないほうがいい話もあるってことを覚えていてほしい。

 

 

 この世界には上下関係があるだろう?

 

 

 俺達にも上下関係があるってことらしい。俺は俺のできることをするから頑張る。

 

 

 最後に、アダムとイブとヴォイニッチは、同じ世界での出来事だよ。以上」

 

 

 

◆そして、釣り宣言

 

 

 

 唐突に流れを切ろうとするスレ主にスレッド内は混沌となった。

 

 

 読めるなら教えてくれ、ヴォイニッチを読めることがどんなにすごいことか分かっているのか?

 

 

 など、彼を問い詰める声がやみませんでした。

 

 

 あまりの反響に再度スレ主は発言しました。

 

 

「ヴォイニッチ手稿に書かれていることは世界の謎や予言でもなんでもないただの落書き。

 

 

 僕たちの世界でいうところの夏休みの宿題みたいなものです。

 

 

 アダムとイブとかいいましたが、神様なんて想像上の存在です。

 

 

 禁断の果実なんてものもありません。

 

 

 ただ、すごく似た果実はあります。

 

 

 このすごく似た果実は、僕の記憶上つい最近までたくさんありました。

 

 

 というか今でもたくさんあります。

 

 

 でも、毒があります。毒蛇って怖いですよね。以上」

 

 

 あまりにも急に態度が変わったスレ主に、スレ住民は翻弄されっぱなしとなりました。

 

 

 しかし、どれだけ言及しようともヴォイニッチに書かれている内容をそれ以上話そうとしないのでありました。

 

 

 

 

「しこ、はんてんひだりかいてん」

 

 

 

 そんな流れの中、突然意味不明な言葉をスレ主は書き込みます。

 

 

 更に混乱するスレ内ですが、ここでようやくスレ主がちゃんと発言するのでした。

 

 

 「ごめんなさい。釣りでした。全てただの夢だったみたいです。

 

 

  ヴォイニッチ分かる人がいるかどうか試したんだけど、いるもんだね。

 

 

  今度はちゃんと釣りの終わらせ方も勉強するよ」

 

 

 それは、これまでの記事が全てうそであるという告白でした。

 

 

 「なんだ、釣りか」と安心する住民たちの中で、数人がその不自然さを叫びました。

 

 

 『ちょっと待て、釣りだとしてもヴォイニッチ手稿で釣るか?』

 

 

 『なんかまずいもん解読したからじゃないのか』

 

 

 スレ主はそれを最後に姿を見せなくなりました。

 

 

 スレ主が居ないスレッドはその後も、議論を続けました。

 

 

 しかし、それ以上もそれ以下も分かることなどなにもありません。

 

 

 全てを知るのはスレ主の彼だけなのですから。

 

 

 最後に、住民が発言した一つを紹介して、長かったヴォイニッチ手稿シリーズを締めたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『釣りって本人は言ってたが、そもそも最初からヴォイニッチで釣っていない。話の流れでヴォイニッチになったはずだ。

 

 記憶が2つあるってスレッドを立てた時点では、文字の話もヴォイニッチのヒントになるようなものなんてなかったのに、これを釣りだというのには無理がありすぎる。

 

 

 ヴォイニッチにはなにが書いてあったんだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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